元公立小中学校教員のぴーちょこです。
今回は、学校に必要な教材に関するお話です。小学校を中心にお話しますが、中学校の先生にも参考になるかと思います。
教材を購入しない学校はまずないと思います。毎年、新年度に向けて、業者からたくさんの教材見本が届きますよね。そして新年度がスタートしたら、年度当初の仕事の一つとして購入する教材を決定します。
忙しい年度当初の中で、じっくり教材を比較検討して決定するのは大変です。年度途中で購入する、家庭科や図工の制作キットなどは割とゆっくり検討するのですが、どうしても年間通して使用するドリル類やテスト類はパッと決めてしまいがちです。
ただ、教員としての経験年数を積み上げていくうちに、短時間でも何に気を付けて選ぶとよいか、自分なりの考えはもてるようになりました。やはり核となる考えは、できるだけ費用を抑えつつ、よい教材を購入することです。
先生方が教材を選ぶ参考になればと、私の考えをまとめることとしました。教材を選ぶ一助になれば幸いです。
公立学校は教材費を削減したい
ご存知の通り、公立学校は地域から子どもたちが集まってきます。家庭環境も様々です。経済的に裕福な家庭もあれば、就学援助費をもらっている家庭もあります。家庭の経済格差は、地域によって大きく違いますが、就学援助を受けている家庭が全体の1割を超えるという学校も、今ではめずらしくないと思います。
経済的に厳しい家庭が多い地域では、特に教材費を抑えたいですね。
校長の方針によるところもありますが、公立学校では授業に必要な副教材にかかる費用を、できるだけ縮減したいと考えています。これは、保護者への経済的な負担を減らすためです。
もちろん、子どもたちの学力を伸ばすことが目的ですので、何もかもカットするわけではありません。費用対効果を重視しているのです。必要のないものは買わないということです。
多くの学校が、学年全体で教材費の徴収額を比較して、特定の学年だけが異常に高くならないように気を付けていると思います。だいたいは、学年が上がるにつれて少しずつ徴収額を上げているのではないでしょうか。もちろん、教科が増えるためです。
また、教材費の徴収額が学校間である程度そろうように、近隣の小学校で情報交換をしているところもあります。
ここで一つ注意したいのは、必要のないものは買わないことが大事ですが、何でも教師が自作するのは、教師の働き方改革と逆行します。必要なものはきちんとよいものを選ぶ、必要ないものは買わない。この考え方をもとに教材を購入し、いざという時、きちんと保護者に説明ができる教材選びをすることが大切です。
保護者のお金という意識をもとう
多くの学校が、4月当初にドリルやノート類を注文すると思います。小学校であれば、4教科のテストも購入するでしょう。4月当初のハンパなく忙しい中で、購入するものを選ばなければなりません。
小学校や中学校は義務教育ですから、教科書は無償配付です。しかし、副教材は保護者が払うお金で購入します。保護者のお金という意識をもって、ていねいに選びましょう。
教材選びのポイント
私が購入するときに意識したことを紹介します。あくまでも私個人の意見ということをご容赦くださいね。もちろん、教材費節約という視点です。
ドリル類は付属のものが少ない(ない)ものを選ぶ
漢字ドリルや計算ドリルは、ドリルとは別に小テストが別で付けられます。50円~60円くらいのものなので、購入すれば確認テストを作る必要がないので便利です。
しかし、教材費を削減したい場合は、この小テストを買いません。ちょっと大変ですが、ぴーちょこは小テストを自作していました。慣れるとそれほど時間はかかりません。
最近は、教科のテスト類を購入すると、付属でCD-ROMが付きます。その中に、テストや学習プリント作成の機能が付いていたりするので、それを使うと便利です。
ドリル用の専用ノートは購入しない
ドリルと一緒に専用のノートも販売されています。専用ノートがあれば、書くところが決まっているのでノート指導が楽です。しかし、通常のノートを購入し、ノート指導をていねいに行えば問題ありません。
専用ノートは保護者では手に入りません。無くした、汚したなどの理由で新しく用意したいといっても、保護者は自分で用意できません。結局、学校が代わりに購入することになるので、手間と言う点からもおススメはしません。
理科の実験キットはシンプルなものを選ぶ
シンプルなものを選ぶ理由は2つです。
- 値段が安い
- 学習のねらいに必要のないものを省きたい
例えば、電池の直列・並列を学習する単元では、車の実験キットが販売されています。私の場合、教科書に準じたシンプルなものを選びます。
子どもたちにとっては、かっこいい車になるキットの方がうれしいですが、作ることにだけ夢中になる子が出てきます。また、細かい部品をなくす子もいます。かっこいいキットの方が、子どもたちの意欲を高めるという意見もありますが、私はシンプルなものでも十分に子どもたちは電池の仕組みを楽しんでいると感じました。
自作できるテストは購入しない
小学校の場合、国語、社会、算数、理科は業者のテストを購入することが一般的です。これを全部自作していたら大変なことになるので、当然購入すべきだと思います。ただ、自作できるところは購入しなくてもよいと思います。
具体的には、小学校3年生の社会科です。地域のことを学習するので、業者テストが学習内容にマッチしないことが多々あります。業者も地域版を作るようになってきてはいますが、完全ではありません。
こういう場合は、授業に即して自前でテストを作成した方がいいです。学校によっては、過去に作成したテストが残っていると思います。それを手直しして使えば労力も少なくて済みます。
似たようなもので迷ったら、10円でも安いものにする
内容を見比べて、よいものを選ぶのが当然ですが、甲乙つけがたいものは、単純に安い方を選びましょう。
費用を抑えることは大切だが、教師の多忙化解消も大事
費用削減という視点だけで教材購入を考えてしまうと、必要なものまで購入を見送り、その結果、教師が自前で用意することとなり、多忙化につながります。これでは意味がありません。
必要なものはきちんと購入しましょう。理科、図工、家庭科などの実験キットや制作キットは、購入した方が教師の負担が少なくなる場合が多いです。
教材購入について、説明できるようにしておこう
購入した教材について、きちんと購入した理由を説明できるようにしておきましょう。なぜこの教材を購入したのか?という問い合わせを受けたことはありませんが、このご時世ですので、説明責任が果たせるようにしておくことは大切だと思います。
保護者のお金で購入するのですから、購入したのに使用しなかったということは絶対にあってはいけません。
最後に、著作権は守ろう
最後に。
教材費を節約したいからといって、業者のサンプルをコピーして児童生徒に配るなんてことはダメです。業者のサンプルを個別指導に使うのもダメです。
教員は著作権に対する危機管理意識が低く、著作権を侵害していたり、きわめてグレーな方法で使用していたりする人が結構たくさんいます。あなたの周りにもいませんか?
著作権は必ず守りましょう!
以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。