教員は多忙です。でも、実際にどれくらい多忙なのか。つまり、実際の勤務時間がどれくらいなのか気になりませんか。
勤務時間って決められてるけど、絵に描いたもちと一緒だからね。だって勤務時間より前に、子どもは登校してくるもんね。給特法じゃ、割にあわないよ。
今回はの記事は、以下の人向けです。
・教員になることを目指している人
・現在、教員の仕事が多忙と感じている人
私、ぴーちょこは元教員です。20年くらいの教員経験を振り返ると、年度によって忙しさは変わります。
もちろん、暇な年は一度もありません。でも、校務分掌や自分の立場で忙しさの質が変わります。
今回は、私の経験や、私の身の回りにいた教員の実際の勤務時間について紹介します。その時に、どんな仕事内容だったのか、どんな環境だったのかもあわせてご紹介します。
多忙・多忙感を変えるものとは
まずはじめに、多忙や多忙感を変えるものが何なのかを説明します。ここでいう多忙と多忙感は以下のように使い分けています。
多忙・・・忙しいこと。実際の業務量。
多忙感・・・忙しいと感じること。おなじ業務量でも多忙感は人によって違う。
校務分掌・立場・学校規模
校務分掌
学校を運営していくために必要な校務分掌。この校務分掌の何が与えられるかによって、忙しさが大きく変わります。
校務分掌といってもいろいろあります。どの学校でも忙しいと思われる校務分掌は、
- 生徒指導主事(荒れた学校だとホントに大変!)
- 体育主任(運動会、長距離走大会などの運動行事の企画・運営)
- 進路指導主事(中学校。受験時期になるとすごく多忙!)
- 児童会担当・生徒会担当
上記以外でも、学校事情により忙しい校務分掌はあります。
例えば、学校が算数の教科研究指定を受けている場合、研究主任や算数主任も忙しくなります。
健康教育の研究指定であれば、養護教諭や保健主事が忙しくなります。ICT機器が整備される年であれば、情報教育主任の仕事が増えるでしょう。
仕事が多い校務分掌は、デキる先生に充てられるのが普通です。
私は管理職とともに、校務分掌の作成に関わったことがあります(立場上)。決め方は、主要な校務分掌から決めていきます。当然、デキる先生、任せられる先生になります。その次に、経験の浅い先生や家庭の都合(介護が忙しい)を考慮しなければならない先生を当てはめます。そして最後に…。仕事を任せられない先生(悪く言うとお荷物)を、「何も名前がないわけにはいかないから」と形だけ名前を当てはめます。
これ以外にも実際の人間関係とか、校務分掌の経験年数とか細かいことも含め、総合的に決めていきます。
立場
校務分掌と似ていますが、与えられる立場も多忙を左右する理由の一つです。具体的には以下のようなことです。
- 学年主任か担任か、副担任か
- 担任であれば、対応が難しい子や保護者のいるクラスか
- 受け持つ学年が、前年度に学級崩壊しているか
- 校務分掌にない立場が与えられたか(研究発表の提案者、外部の研究組織、組合など)
同じ小学4年生の担任でも、学年主任かそうでないかで違います。当然、学年主任であれば、学年全体を見る必要があります。また、同じ学年を組む先生は、自分より経験が浅いことが多いので、フォローも必要になります。
どんな特徴の学年を受け持つのかということも大切なポイントです。
対応が難しい子や保護者がいる、前年度に学級崩壊をしてしまったクラスがあるというように、すでに受け持つ前から大変な学年だとわかる場合があります。これは、現在教員をされている方ならわかりますよね。みんなが敬遠する学年です…。
こうした学年を任されれば、当然忙しくなります。時間的な忙しさだけでなく、精神的な負担も大きいです。
学校規模
校務分掌は、学校規模に関わらずどの学校も大体同じくらいあります。つまり、以下のようになるわけです。
学校規模 | 特徴 |
---|---|
小規模 | 1人が複数の校務分掌を担当する(教員数より校務分掌の割り当てが多いので、分け合う感じ) |
中規模 | だれもが何らかの校務分掌のトップになる(大規模に近い中規模校は、そうならない場合も) |
大規模 | トップにならず、2番目、3番目の人ができる |
大規模校であれば、校務分掌のトップにならない先生が出てきます。メリットとして、若手がベテランの先生について教えてもらう、ということができるわけです。
一方、小規模校は教員数が少ないため、校務分掌を分け合う形で複数担当しなければなりません。ですから、表だけを見ると、校務分掌に関しては小規模校の方が忙しいと思えます。
しかし、小規模校も大規模校も経験した私から言わせてもらいます。
小規模校は、人数が少なくて小回りが利くので、職員室で雑談しているだけでも相談になります。大きな行事を企画するときも、職員室で話をしていればそのまま案が固まっていきます。
職員が少ないため、助け合わないとやっていけないことをみんなが知ってます。ですから、担当するものが多くてもそれほど大変さを感じませんでした。
ただし、運営に関しては、自分の担当する校務分掌の数だけあるわけですから、出番は多くなります。
私の経験上、小規模校の方が職員の帰りが全体的に早いです。かなりの違いがあります。
経験
経験を積むことで、仕事に慣れてきます。すると、同じ仕事でも効率よく進められるようになるので、忙しさは軽減されます。さらに、「やったことがある」という経験は、精神的にも負担を軽くします。
体育主任を例にとると、若くても体育主任を何年もやっている先生の方が、40代で初めてなる先生より効率よく仕事を進めるでしょう。
どんな仕事についても、経験は武器です。ベテランの先生の仕事が早く見えるのは、経験に基づく効率的な仕事方法を、自分なりに確立しているからです。
職場のメンバー
実は、職場のメンバーはとても大事だと思っています。
職場の雰囲気がよいと、気持ちよく仕事ができます。たとえ多忙であっても、助け合う雰囲気があれば、多忙感はやわらぎます。
逆に、職場の雰囲気が悪いと、楽しく仕事ができません。
・仕事を若者に押し付けようとする人(こういう人は一定数存在する)
・押し付けはしないがやる気がない人(公立学校には確実に存在する)
・教員いじめをする人(そもそも子どもに教える資格はない!)
同じ仕事をしていても、職場のメンバーによって多忙感は雲泥の差です。
校長、教頭といった管理職が、多忙な職員へ配慮できるような人たちであれば、なお働きやすい職場といえます。
職場の雰囲気が悪くて、職員室に戻りたくない時もあったなあ。コソコソ悪口を言い合っている先生を見るのが嫌だった…。
家庭環境
家庭環境、つまりプライベートの状況で多忙や多忙感も変わります。
未婚の先生であれば、自分の時間が多くあるので、比較的にゆっくり仕事ができます。ですから、忙しくても多忙感を感じにくくなります。若手の先生で、遅くまで学校に残る先生は結構たくさんいます。でも、若手の先生同士で和気あいあいと仕事をしていることもあり、楽しそうにしています。
一方、お子さんがいる先生の場合、保育園の迎え、習い事の送迎、夕食の準備などで学校を出なければいけない時刻が決まっています。
つまり、限られた時間の中で仕事をこなさなければならないので、子どもたちが帰った後は黙々と仕事をされています。
こういう限られた時間内で仕事をしている先生方から学ぶことは多い!
他にも、親の介護で早く帰らなければならない先生もいます。お子さんがいても、両親と同居しているので、早く帰らなくても問題ない先生もいます。
家庭環境は、人によることですし、他人が何かしてあげられることではありません。
ですから、家庭環境で仕事に影響が出そうな先生は、必ず管理職に配慮してもらうようお願いすることが大切です。
家庭ことを持ち出すなんて、と思わないこと!後から周りの先生に気を遣わせる方が迷惑です。持ちつ持たれつですから、きちんと管理職に伝えて配慮してもらいましょう。
勤務時間の実際(ぴーちょこの場合)
ここからは、実際にどれくらいの勤務時間だったかご紹介します。もちろん、平均的な時間です。当時の簡単な状況も載せておきます。
小学校教員1年目
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:40 | 出勤 |
8:25~16:55 | 通常勤務 |
16:55~19:00 | 学級事務、授業準備など |
急に仕事が激増した2年目
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:20 | 出勤 |
8:25~16:55 | 通常勤務 |
16:55~23:00 | 校務分掌、学級事務、授業準備など |
仕事に慣れてきた5年目
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:40 | 出勤 |
8:25~16:55 | 通常勤務 |
16:55~19:00 | 校務分掌、学級事務、授業準備など |
小学校で学年主任になった12年目
時間 | 仕事内容 |
---|---|
6:00 | 出勤 |
8:25~16:55 | 通常勤務 |
16:55~19:00 | 校務分掌、学級事務、授業準備など |
中学校勤務のとき
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:00 | 出勤 |
7:30~8:15 | 部活動 |
8:30~17:00 | 通常勤務 |
17:00~18:30 | 部活動(季節により時間変動あり) |
18:30~20:00 | 校務分掌、学級事務、授業準備など |
教務主任のとき
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:30 | 出勤 |
8:25~16:55 | 通常勤務 |
16:55~23:30 | 教務事務、授業準備など |
他の先生はどれくらい勤務してる?
私の勤務時間だけでは、あまり参考にならないかもしれません。そこで、私の周りで働いていた先生方の勤務時間もご紹介します。
正確に言うと、在校時間です。早く帰らなければならない先生は、家で仕事をしていることがほとんどです。
勤務校・性別 | 特徴 | 実際の勤務時間 |
---|---|---|
小学校・女性 | ・保育園のお子さんあり(毎日送迎) ・核家族 | 8:15~17:30 |
小学校・男性 | ・独身、一人暮らし ・帰りにスポーツジムに寄っている | 7:20~20:00 |
中学校・女性 | ・保育園のお子さんあり(送迎は実の親) ・部活は、朝練や土日練習のない文化部担当 | 7:50~18:00 |
中学校・男性 | ・既婚、子どもあり ・学年主任。部活指導も熱心 ・土曜日は半日部活、残りの半日は職員室で仕事 | 7:00~22:00 |
最後に
教員は、一応勤務時間が決められています。しかし、冒頭で申し上げましたが、絵に描いた餅です。決められた勤務時間ではたけるのは、長期休業中くらいです。
そして、一人一人によって実際の勤務時間は大きく変わります。
また、早く帰る先生も、家で仕事をしていることが多々あります。小さいお子さんがいるなど、家庭の事情で早く帰らなければならない先生は、家事の後で仕事をしています。
とにかく、教員は多忙です。仕事に費やす時間は本当に長いです。
現在、教員に限らず働き方改革が進んでいます。
教員の働き方がもっと改善され、魅力的な職業として、未来の子どもたちのあこがれの職業の一つとなることを願っています。