7月3日、松本洋平文科相が、
夏休み期間中の子どもの居場所を確保するため、文部科学省は学校の一部開放などを全国に要請
しました。
現役教員からは悲鳴が聞こえてきそうです。
正直、このニュースを見たとき、教員に対する国の本音が見えてがっかりしました。
公立学校の教員に任せれば、予算がなくても問題に対応できる
こんな風にしか感じません。みなさんはどう感じましたか。
私は教員時代に、夏休みに数日間、学校を開放していた学校に勤務していました。その経験も踏まえて私の考えを述べていきます。
それでは、このニュースについて思ったことを、部分的に分けてツッコミたいと思います。
電気代が高騰しているからだと!

毎日新聞の記事に、次のようなことが書かれていました。
酷暑が予想される一方で電気代が高騰しており、経済的に苦しい家庭では冷房の使用を控える可能性も懸念されることなどが背景。子どもが安心して学びや体験活動に取り組める場所を確保する狙いがある。
https://mainichi.jp/articles/20260703/k00/00m/040/170000c より一部抜粋
電気代が高騰しており…
電気代は今年急に高騰したわけではありません。電気代に限らず、さまざまな物価高で国民全体が苦しんでいます。
電気代の高騰に対して、国は具体的な手を打ってきたのですか?
「再エネ賦課金」という制度は本当に必要ですか?実質的な値上げではないですか?
「経済的に苦しい家庭では冷房の使用を控える可能性も懸念される」とありますが、むしろ電気代の対策をしたり、経済的に苦しい家庭の支援を考えたりはできないのでしょうか。
夏休みに学校を解放したとしても、経済的に苦しい家庭の子どもたちが必ず学校に来ると思っているのでしょうか。
もしかして、そういう家庭の状況も夏休みに把握してくれと言うのでしょうか?
子どもが安心して…
「子どもが安心して学びや体験活動に取り組める場所を確保する狙いがある。」とありますが、電気代高騰の話と別な話だと思います。
強引すぎるというか何というか…。
冷房が使えない
↓
学校なら冷房使えるじゃん
↓
安心して勉強できるよね
という安易な考えだと思います。
学校を託児所か何かと考えていませんかねぇ…。
教員の働き方、本当はあまり考えてないでしょ?
さて、以下も毎日新聞のホームページからの引用です。
学校を開放する場合は教員の業務が増える可能性もあるが、働き方改革にも留意するよう求める。地域の各種団体やボランティアへの安全管理や見守りの依頼などが想定されるという。
https://mainichi.jp/articles/20260703/k00/00m/040/170000c より一部抜粋
学校を開放する場合は教員の業務が増える可能性もあるが…

教員の業務が増える可能性もあるが…ではなくて、確実に業務は増えますよ。
だって、夏休みは子どもが登校してこない分、ゆっくりできるのは間違いないですが、やることはたくさんありますから。
まず、教員としていろんな人に理解していただきたいのは、子どもたちが登校している期間は、勤務時間を超えて働くことが全国的に常態化していること、夏休みなどの長期休業中は、定められた勤務時間に出勤して退勤しやすい期間であるということです。
ぴーちょこ夏休みは勤務時間内の働き方がしやすいだけで、必ず残業ゼロにできるわけではないです。
もう、多くの先生が夏休みの過ごし方を発信しているので、周知されてきてはいますが、私も教員の夏休みについて伝えたい。子どもが休みだから先生も休みと思われたくない!
教員は夏休みに以下のことをやっています。
・校内研修、または学校外での研修会への参加
・9月以降の教材研究、授業準備(ここでやっておかないとツラい)
・秋の運動会の場合、運動会の計画
・校内の除草作業や校舎内清掃(職員作業として実施)
・学校備品のチェック
・学校外の見回り(防犯パトロール)
・部活動の指導、夏休みの大会への引率
・保護者との懇談(夏休みに設定されている学校の場合)
・担当校務分掌の仕事
他にも、研究レポートの作成や、研修会の講師などの仕事を抱えている先生もいます。
ここに、学校を開放することをやったら、さらに仕事が追加されることは明白です。
「教員の業務が増える可能性がある」なんてあいまいな言葉は、現場を知っている人なら絶対言えません。増えるに決まっているじゃないですか。
ちょっと考えただけでも、以下のような仕事が増えます。
・学校を開放する期間と時間帯
※近隣の小中学校である程度そろえておかないと、保護者から文句が出る可能性あり
・どの教室を開放するか
・いつ、どの教員が担当するか
※まさか、学校だけ開けておいてあとは知らんぷりなんてできないでしょ。
・学校開放について、保護者向けの連絡作成
・保護者に利用希望日及び利用時間の調査
※まさか、いつ来ていつ帰ってもいいなんてできると思います?
・子どもたちが利用する前に、冷房のスイッチオン
・入室と退室のチェック
・欠席連絡がない場合、保護者に連絡
・何かトラブルがあった時の対応
・子どもたちが帰ってからの現場確認、清掃など
大きく負担となると予想されるのが、「だれがいつ利用するか把握すること」と、「トラブル対応」です。
まず、だれがいつ利用するか把握することについてです。
オープンカフェじゃないんだから、好きな時にどうぞ~なんてありえません。特に小学校低学年の場合、好きな時に来て好きな時に帰らせるなんて、保護者がそうさせないと思います。
もし、何かあった時に子どもの所在がわからないでは困ります。
例えば、「今日は学校で勉強してくるんだよ」と保護者がいったのに、家を出るふりしてどこかに遊びに行ってしまった子がいるとします。そういった場合、「学校に行ったと思ったのに、先生たちはだれが来ていたのかチェックしていないんですか?」と家庭の問題なのに学校に理不尽なクレームを言う保護者がいるかもしれません。
だから、自由に利用してよいという学校でも、入室と退室時のチェックは行うと思います。結局その把握は教員がすることになるでしょうが。


次に、トラブル対応についてです。
子どもたちが集まれば、必ずトラブルが起こる可能性はあります。絶対にゼロとは言えません。トラブルといっても、子どもたち同士のけんかだけでなく、以下のようなトラブルがあります。



私の勤務していた学校で実際にあったことです。
・学習する道具を持ってくるのを忘れる。
・やる気がなくて、周りにちょっかいを出す。
・すぐにお茶休憩、トイレ休憩と言って席を立つ。
・トイレに行ったと思ったら、勝手に他の教室に行ったり図書室に行ったりする。
ちょっと荒れている学校であれば、目の離せない子がいてその対応に追われるかもしれません。
ともかく、学校を開放すれば、絶対に教員の業務は増えます。働き方改革と逆行します。9月以降の授業に影響します。
外部の人に依頼できると本気で思ってる?
新聞記事の中に、「地域の各種団体やボランティアへの安全管理や見守りの依頼などが想定される」とあります。
現場を知らない方は、これが実現可能だと本気で思っているのでしょうか?
この文面だけでは、各種団体やボランティアが具体的にどこまで学校開放に入ってもらうのかわかりません。
でもそもそもの問題として、平日の昼間に、しかも夏休み期間中だけ手伝ってもいいなんて、そんな都合のいい人が世の中にどれくらいいますか?
地域で登下校の見守りをしてくださる方なら、子どもたちの登下校の見守りは依頼しやすいでしょう。
でも、結局学校を開放して子どもたちを見るのに、ボランティアだけに任せるわけにはいかないでしょう。
何より、気に入らないのがお金を払って雇うという姿勢が見られないこと。
何かを実施したいならお金が必要です。各種団体やボランティアの名前しか出していない時点で、政府はそもそもお金を出す気がないでしょう。
そんな風に思えるから、教員の働き方改革について真剣に考えていないと現場の教員は感じてしまいます。
結論「発言を撤回せよ!」
結論としては、「発言を撤回せよ!」ということです。
そもそもこんな夏休みの直前に言うあたり、場当たり的に発言している感じを受けます。
政府がやることは、夏休みという期間中に支援が必要な家庭への対応について、もっと真剣に考えてほしいということです。
夏休み期間中、家で冷房使えないなら学校に行かせればいいじゃん!なんて、だれでも思いつくアイデアですよ。
教員志望者が減っているという現実に目を向けてください。そして、やりがいを搾取しないでください。
以上、現場から元教員が勝手な考えを述べました。失礼します。








