保護者から苦情が来たらどうしようと、常に心配している先生はいませんか?
心配性な人は、「保護者から苦情が来たら嫌だな」と常に気にしていると思います。
実は、私もどちらかと言えば心配性で、保護者からの連絡を気にする教員でした。
そんな先生へ、私の経験をもとに、心のもち方や普段の取り組みについてアドバイスをしたいと思います。
心配性をプラスに考える

私が見てきた保護者と関係を上手に築ける先生は、心配性だったり不安傾向が強かったりする先生が意外と多くいました。
保護者にとっては「よい先生」と評判の良い先生たちです。つまり、心配性は、決して悪いことではないと思います。
心配性であることをプラスに考えましょう!
心配性の人は、先手を打てる人
心配性の人は、先手を打てる人だと思っています。つまり、事が大きくなる前に対応できる人だと思います。
例えば、体育の授業で子どもが足をひねって痛めたとしましょう。すぐに冷やして手当てした結果、痛みは引いたようで腫れてもいません。
この場合、保護者に連絡しますか?心配性の先生は、連絡帳か電話で状況を説明するでしょう。
保護者からすれば、先生が自分の子を見てくれているという安心感を得ます。連絡しておいた方が安心だなと思って行動したことが、よい方へつながるのです。

周りから見れば、「そこまで気にしなくてもいいんじゃない?」ということが、保護者の信頼につながることがあります。
心配性の人は、感情的にならない人
心配性の人は、基本的に感情的にならない人だと思っています。
感情的になると、人格を否定する発言をしてしまったり、冷たい言い方になってしまうことがあります。
・バカか、お前は!
・なんだ、そんなこともできないのか!
・あなたに頼まなければよかったわ
・もういい、知らないから
こんなこと言われたと子どもが保護者に話したら、当然保護者は怒りますよね。
心配性の人は、感情的にならない人。つまり、冷静で感情をコントロールしながら指導できる人だと思います。冷静に言葉を選びながら指導できると思います。
心配性である分、きめ細かな指導ができる人だとプラスに考えましょう。



心配性だからと悩んでいるかもしれませんが、保護者にとってはすごく頼りになる先生と思われているかもしれませんよ。
子どもをよくしたいというベクトルは同じ


学校への注文が多い保護者に、神経をすり減らしている先生方が全国にたくさんいます。
しかし、保護者も教師も「子どもをよくしたい」という点では、ベクトルが同じ方向を向いていますよね。苦情が多いと言われていた保護者でも、しっかり話をしたら、学校のやり方に理解を示して協力的になったことが、私の経験上少なからずあります。
教師と保護者の考え方のズレで誤解が生じることがあっても、子どもをよくしたいというベクトルは同じであることを意識しましょう。



ただし、教師を批判することを生きがいを感じているモンスターペアレントは別枠です。
保護者の気持ちに寄り添うこと


保護者はわが子のことを心配しています。勉強についていけているだろうか、友達とうまくやれているだろうかなど、保護者によって心配の程度や内容は違います。
教師は、そんな保護者の気持ちに寄り添わなくてはいけません。
勉強が苦手な子の保護者に対して、どんな言葉がけをしたらよいでしょうか。
絶対やってはいけないことは、子どもを否定するような表現をすることです。大抵の保護者は、自分の子を否定されると、自分が否定されたと捉えます。
大切なことは、保護者の気持ちに寄り添うことです。嫌なことを伝えないのではありません。伝えた上で、どうしたらよいのかという具体策を示し、一緒にお子さんのためにやっていきましょうという気持ちを教師が見せることが大切なのです。
保護者の気持ちに寄り添うことは、子どもたちの気持ちに寄り添うことにもつながります。こうした意識で過ごしていれば、保護者の信頼度は高まっていきます。
苦情が多い保護者も、学校の誰かとつながっていたい
ちょっと話はそれますが、苦情の多い保護者は学校に文句ばかり言っていて、学校を敵視しているように感じることがあります。
しかし、私が見てきたそういった苦情の多い保護者も、実は学校の誰かとはつながっていたいんだなと感じたことがあります。
過去、担任と折り合いが悪く、いつも教頭に連絡をしてくる保護者がいました。それ以前は、担任にすごい剣幕で文句を言ってばかりだったのですが、教頭が話を聞いてくれる相手だと分かった途端、教頭に直接連絡が来るようになったのです。
この担任と教頭の決定的な差は、保護者の気持ちに寄り添えていたどうかだったと思います。
自分の思いを伝えたいなら学級通信を発行


自分の学級経営の方針や学習指導について、保護者へきちんと伝わっているか不安に感じるような人は、学級通信を発行するのがよいと思います。
学級通信を発行するのは手間がかかりますし、他にもいろいろとやることがある中で続けるのは大変です。
しかし、自分の考えを保護者に伝えることができるというメリットは、とても大きなものがあります。
例えば、学習発表会で劇を行うことになったとしましょう。配役を決めるとき、必ず子どもたち全員が第一希望の役になれるわけではありません。一体どういう決め方をしたのか学年通信に書けば、公平に決めたことが保護者に伝わるでしょう。あわせて、全ての役が大切であることや、発表に向けての担任の思いを綴れば、担任の真剣な思いが保護者に伝わると思います。
もちろん、学級通信だけで保護者の信頼を得ることができるわけでありませんし、学級通信を読まない保護者もいます。
しかし、私の経験上、学級通信を発行してきた年は、プラスになることはあってもマイナスになったことはありません。


保護者からの連絡は、信頼を得るチャンス
保護者から連絡があると、思わずドキッとしてしまいませんか?しかし、保護者からの連絡に丁寧に対応することで、信頼を得ることができます。
保護者からの連絡は、信頼を得るチャンスだと思いましょう。小さな積み重ねで信頼を得ていけば、いきなりドッカーン!と苦情を受ける可能性は小さくなります。
堂々と、かつ丁寧に対応


保護者から連絡があるといっても、いろんな内容があります。また、保護者が冷静でいるのか、腹を立てているのかなど、保護者の気持ちもさまざまです。
大切なことは、堂々と、かつ丁寧に対応することです。
堂々としていれば、保護者に安心感を与えます。丁寧に対応すれば、保護者に信頼感を与えます。
「教えていただき助かりました」の精神で
時には、「こんなことで連絡してくるなよ!」と思うことがあるかもしれません。しかし、そんな態度を見せてはいけません。
最後に、「教えていただき助かりました」と言うと、保護者は「先生に相談してよかった」と思うものです。
多くの良識ある保護者が、「こんなことで学校に連絡したら迷惑かな?」と思っているものです。そう思っている保護者が、「教えていただき助かりました」と担任から言われたら、きっと担任への評価は上がるでしょう。



私は、いつもきまり文句のように「教えていただき助かりました」と言っていました。
教員であれば、誰もが苦情を言われたことがある
教員であれば、誰もが苦情を言われたことがあります。苦情を言われたことがない教員はいません。
教員である以上、苦情が来ることは覚悟しておきましょう。そして、苦情が来る=ダメな教員ではないことを覚えておきましょう。
どんな優秀な教員でも苦情は来る
どんな優秀な教員でも苦情を言われることはあります。実際に、教員をしていれば「あの先生、優秀だと思っていたのに苦情対応をしている。大変だなあ。」と思ったことはありませんか?
いろんな保護者がいますので、明らかに担任の落ち度がないにも関わらず、苦情を言われることはあります。むしろ、優秀な先生のところに対応が難しい保護者がいたりするので、苦情対応に追われることがあるのも事実です。
ですから、誰もが苦情を言われることがあると思っていましょう。
1年に1回は、大きな問題が起こると覚悟しておく
私が現役時代、いつも心に留めておいたことがあります。
それは、「1年に1回は、必ず大きな問題が起こる」と覚悟しておくことです。
そう思うようにしていた理由は2つあります。
① 1年に1回は大きな問題が起こると覚悟しておく方が気が楽だから。
② 自分の努力で、大きな問題が1年に1回だけで済むようにしたいから。



心の健康を保つためにも、「苦情が来て当たり前」、「全力でやっていて苦情が来たら仕方がない」と思っておくことが大切だと思います。
信頼は積みあがっていくもの


最後に。
保護者からの信頼は積みあがっていくものです。これは、同じ学校で何年も勤務している先生なら知っていることです。
担任として1年間しっかり取り組んでいけば、年度末に保護者から感謝の言葉を言われることがあります。自分のことを信頼してくれた保護者は、今後も協力してくれるでしょう。同時に、保護者ネットワークでもよい話をしてくれるかもしれません。
真面目に取り組んで保護者の信頼を得ていけば、自分のことを信頼してくれる保護者はどんどん増えていきます。すると、その学校では、どんどん評判がよくなって働きやすくなります。
保護者の苦情は誰でも嫌なものです。でも気持ちのもち方や普段の行動で、保護者の信頼を得ていくことはできます。
保護者対応の技を身に付け、気持ちを前向きにして日々の仕事をがんばっていきたいものですね。