それなりの規模の学校であれば、毎年のように教育実習生が来ます。
私もこれまでにいろんな実習生を見てきました。自分が指導教官として指導した教育実習生、教務主任の時に関わった実習生など、直接関わった実習生のことはよく覚えています。
さて、今回は、教育実習を最後まで続けられず途中でリタイアした実習生の話をします。
この記事は、教育実習は辛いことがある!とか、うまくいかなくて当たり前だ!というような、教育実習に向けてのアドバイスを入れることはしません。教育実習を続けられなかった実習生の話で終わります。教育実習のアドバイスについては、別記事で掲載したいと思います。
教育実習を途中でリタイアした実習生に出会ったのは、教員人生20年余りの中で一人だけです。
実習期間中に悩む子は珍しくありません。でも、なんだかんだで実習を終えていく子がほとんどです。
それでは、ご紹介します。なお、個人情報に配慮するため、詳細に記述できないのでご了承ください。
教育実習を途中でリタイアした実習生について
どんな実習生だったか、簡単に紹介します。
- 実習校は中学校
- 初めての教育実習
- 女子学生
- 担当教科は家庭科
おとなしい印象を受けましたが、最初のあいさつでは、職員にも生徒にも落ち着いて話をしていました。なお、この実習生以外にも実習生がいました。
実習生の様子
前向きにがんばっていた初期
この実習生を私が担当していたわけではないので、周りから見て感じたことをまとめていきます。
最初はとても明るい表情で、前向きにがんばっていました。担当する学年の生徒にも精一杯関わろうとしていました。また、指導教官の先生の話もよく聞いてがんばっていました。
だんだん表情が暗くなってきた
しかし、だんだん表情が暗くなってきました。おとなしい控えめな子でしたが、最初は笑顔を見せていました。しかし、だんだん笑顔が見られなくなっていきました。
指導教官の先生も、「言ってもあまり響かない子」と悩んでいました。指導教官の先生は、熱意があってエネルギッシュな先生です。期待を込めていろいろ教えていたのですが、それが本人には負担になっていたようです。
実習生の本音を私が聞けたわけではないので、あくまで後から聞いた話です。
実習生の控室から出られなくなった
そして、その日は突如訪れました。実習生の控室から出られなくなったのです。
他にも実習生がいたのですが、その子のことを大変心配していました。
教務主任の先生が控室に行って話をしたのですが、本人はうつむいているだけで、ずっと黙っていました。私も教務主任のそばにいたので、「とりあえず、外でも歩こうか」と声をかけたら、控室から出てくれました。
教務主任にお願いして、実習生のことを任せてもらいました。そのまま学校の敷地をぐるっと歩きました。ただ、実習生は何も話しませんでした。
どうしたのか理由を聞きたかったのですが、本人が何も話をしないので、一方的に私がとりとめのない話をしました。
結局、一緒に歩いただけで、また控室に戻ってきてしまいました。その日は、それで一日が終了しました。
両親と相談するも、教育実習はリタイア
ここからは直接実習生に関わることはありませんでした。後で教務主任に聞いた話です。
本人は教育実習を続けたくないと言ったそうです。そこで、実習生の両親に相談したところ、「何とか最後までがんばってほしい」とのことでした。
両親は、「教員になる、ならないではなく、今後のためにも最後までやり切ってほしい」と言っていたそうです。
しかし、本人がどうしても続けたくないということで、教育実習を途中でリタイアすることとなりました。
最後に
後日、実習生の保護者だけでなく、大学側からも謝罪の連絡があったそうです。
この実習生は今、どうしているのでしょうか。教育の世界でなくていいので、自分に合ったところで仕事ができていたらいいなと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。