教員を目指す人へ。
教員に目指す人は、教員になりたい理由があるのでしょう。
- 子どもの頃に、すばらしい先生に出会って、自分も教師になりたいと思った
- 両親や親戚に教員がいて、影響を受けた
- 安定した生活のために公務員になりたい
など、理由は人それぞれでしょう。公務員だから安定しているので教師になりたいという理由を否定するつもりはありません。それも教員の魅力の一つだからです。
さて、実際に教員になったら、どんなことにやりがいを感じるのでしょうか。
この記事では、元小中学校の教員のぴーちょこが、教員のやりがいを感じるときについて紹介していきます。
子どもの成長を感じられたとき
教師であれば、目の前の子どもの成長を感じられたときに、教師としてのやりがいを感じます。
子どもたちと日々成長していますが、その成長は目に見えるほど大きなものでないことがほとんどです。
しかし、そうした小さな成長が積み重なって、大きな結果につながるのです。そうした子どもたちの大きな成長の瞬間を見られると、「教師っていいな」と感じます。
子どもの成長を感じられた場面は、本当に多岐にわたります。私が教師としてのやりがいを感じた場面をいくつか紹介します。
跳び箱が跳べない子が跳べた時
6年生を担任している時、跳び箱がどうしても跳べない子がいました。向山洋一氏が提唱している跳び箱の跳ばせ方があるのですが、私の指導が悪いからか、なかなか跳ばせることができませんでした。
しかし、その子はあきらめることなく練習しました。私も一緒になって取り組みました。
そして、最終的に跳べるようになったのです。あの時、跳べた瞬間のびっくりした顔と、周りの子が贈った盛大な拍手は、いまだに鮮明に思い出されます。
本人のがんばりが一番なのですが、跳ばせることができたという安堵感と、本人の成長を見ることができて、本当にうれしい瞬間でした。
漢字の苦手な子が、漢字の小テストで100点をとった時
公立の小中学校には、発達障害の可能性がある児童生徒が、約6.5%いると言われています。
全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、人とコミュニケーションがうまく取れないなどの発達障害の可能性のある小中学生が6.5%に上ることが5日、文部科学省の調査で分かった。推計で約60万人に上り、40人学級で1クラスにつき2、3人の割合になる。
日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404C_V01C12A2000000/ より一部引用
私が受け持つ学級に、漢字の書き取りがとても苦手な子がいました。他の学習については、なんら問題がないのですが、とにかく漢字の書き取りだけが苦手なのです。いわゆる学習障害(LD)です。
新出漢字の小テストでは、いつも100点をとることができません。テストの予告をしているので、家でがんばって勉強してくるのですが、50点~60点、ひどいときは10点ということもありました。
どうしたら100点をとらせることができるのか考えました。いろんな本を読んで、いろんな方法を試しました。本人にあった方法が何だろうと思いながら。
保護者にも協力を求め、学校の宿題とは別に、個別にその子専用の課題に取り組ませました。
その方法が最善だったかどうかわかりませんが、その子はついに漢字の小テストで100点をとることができました。
その子のうれしそうな顔を見た時、「この子のためにいろいろやってよかったな」と思えました。
保護者から感謝された時
教師は子どもたちの成長のために仕事をします。子どもの成長が、教師にとって最もやりがいを感じる時なのですが、その保護者に感謝された時も、「教師っていいな」と感じる瞬間です。
保護者から直接感謝される時というのは、あまりあるわけではありません。
しかし、ふとした時に手紙をもらったり、電話をもらったりすることがありました。
また、小学校を卒業した子の保護者から、「小学校の時に先生にほめてもらったおかげで、中学校でも社会の勉強をがんばっています。おかげ様で100点をとることを目標にしています。」と手紙をもらったことがあります。
やりがいとともに、子どもの成長に関わる責任の重さにも気づかされた手紙でした。
担任する子どもを卒業させたとき
小学校であれば6年生、中学校であれば3年生を担任した時、受け持つ子どもたちを送り出すのは、教師にしか味わえない最高の時間です。
教員人生の中で、何回も卒業学年を直接担任できるわけではありません。
小学6年、中学3年といえば、学校での最高学年なので、この1年間は学校を引っ張っていくために、いろいろと大変な一年間になります。
昨年度の小6や中3と比較されることもあり、特に学年主任は大変です。
しかし、そんな苦労も、最後は卒業式という形で終わります。
教員を目指す人には、ぜひこの卒業式という瞬間を教師の立場から味わってほしいと思います。
最高学年の担任は、苦労の多い一年となりますが、最後に報われると思うとがんばれます。
自分の仕事が、上司や同僚に認められたとき
教師も一人の社会人ですから、上司や同僚から認められればうれしいですし、がんばってやっていてよかったと思える瞬間でもあります。
私の場合、以下のようなことで認められたことがあります。
- 教科研究として取り組んだことが、いろんな先生に評価してもらえた
- 新しい児童会行事を企画した時、多くの先生に支持してもらえた
- 若手の先生たちが、自分に相談してくれた
人間、大人になっても何かで認めてもらえるとうれしい…。子どもも同じだと感じ、褒めることの大切さを痛感します。
教師という仕事は、大変な面ばかり強調されがちですが、やりがいを感じるようなすばらしい瞬間もあります。
もちろん、苦労が多いことは否定しませんが、それを打ち消すくらい「教師をやっててよかった!」という瞬間もあります。
教師を目指している人、損得勘定だけでは得られないやりがいがある、それが教師という仕事です。