教員の働き方改革はなかなか進んでいきませんが、それでも私が教員になった20年以上前と比べると少しずつ前進しています。
働き方改革の一つとして、多くの学校で導入されてきているのが「留守番電話」、いわゆる留守電です。
留守電が導入されて、勤務時間外に理不尽な電話対応をする時間が大幅に減りました。しかし、留守電が導入されたことで新たに気を付けるポイントも出てきたなあと感じています。
この記事では、留守電を導入することによって担任が気を付けなければならないポイントを3つ、私の経験を交えながらまとめていきます。
ぴーちょこ元教員として、実際の経験を踏まえてまとめていきます。


留守電を語る前に ~学校という現場の特殊性~
まず、留守電の前に読んでいただきたいことです。
留守電が導入されるまでは、当然学校の電話は24時間対応できる状態でした。
私が勤務していた大半は、留守電がない状態です。24時間、電話受け放題です。夜遅くまで勤務していても、電話が鳴ります。ある先輩の先生は、「午後10時を回ったら無視しよう」と言って電話は取りませんでした。
あなたは、お店の営業時間外に電話をしますか?銀行に急用ができたからといって、夜間に電話をしますか?
通常、電話をかける以前に「どうせ電話をかけてもつながらないだろう」と考える人が多いと思います。
でも、学校は「職員室に誰かいれば電話はつながる」と考えられてきた節があります。
荒れた中学校では、生徒の問題行動がいつ起こるか分かりません。夜間対応に追われることもしばしばあります。
実は、いつでも電話がかかってくるというよりも、勤務時間外に電話をかけなければいけない教員の環境が、24時間電話を受けられる体制になってしまっていたといえるのではないでしょうか。
いつでも電話がかかってくるから、私も以下のような経験があります。
当時は小学校5年生の担任でした。
ある日、勤務を終えて帰宅したのが夜の9時ごろ。入浴と食事を済ませ、のんびりしていた午後10時過ぎ、自宅に電話がかかってきました。
かかってきたのは勤務校から。まだ残って仕事をしていた先生から次のような連絡がありました。
「君のクラスのAくんの保護者から連絡があって、家庭内で母親がAくんに怒って叩いたところ、家から出てってしまい、まだ帰ってこないとのこと。警察には連絡してあるそうだけど、まだ見つかっていないらしい。校長先生には連絡してあるけど、君も来れたら来てくれる?」
もちろん、自分のクラスの子ですし心配なので現場に向かいました。幸いにして、自分が到着したころに見つかったらしく、事なきを得ました。
上記の私の体験談を読み、「そもそもこの件は家庭の問題だから、学校が関わらなくていい」と思った人、正常です。
しかし、当時は勤務時間外でも、緊急時は対応しなければならないと当たり前に思っていました。
こうした、学校という特殊性を正していくことが、電話対応だけでなくいろいろな点で必要だと思っています。
留守電について、担任が気を付けるポイント3選
①緊急性の低い連絡で電話がつながらない場合、保護者の留守電にメッセージを残す


勤務時間内に保護者に連絡がつかないことは意外に多い
学校の電話が留守電に切り替わるのは何時ですか?午後5時の学校、午後5時30分の学校、ちょっと遅くて午後6時の学校もあるようです。
保護者に伝えたいことがあるとして電話をかけた場合、留守電になる前に連絡がとれる保護者はクラスの中でどれくらいいますか?
全ての保護者に電話をかけたことがないのでわからない!という人もいるかもしれませんが、思ったよりつながらない人が多いと感じませんか?
両親ともに仕事中、保育園や幼稚園の迎えで手が離せない、単純にスマホを確認していない、などの理由で、かけてもつながらないことがあります。
電話に気付いた保護者は折り返し連絡をくれることが多いですが、保護者の折り返し連絡を待つ間、留守電の時間になったらどうしようと思ったことはありませんか。
緊急性の低い連絡の場合、留守電にメッセージを残しておくだけでよい連絡もあります。
例えば、
・図工の時間にカッターナイフで指をけがした。手当てをしたが家庭でも見てほしい。
・休み時間に水たまりで遊んでいたら、すべって落ちてしまいパンツがぬれた。学校にある新品のパンツをはいて帰らせたので、新しいパンツを返却してほしい。
・最近、学校でおなかが痛くなることが多いので、ご家庭ではどんな様子かお聞きしたかった。
といったことです。ちょっと保護者に伝えておきたかったという内容です。
留守電にメッセージを入れる場合に注意することは?
緊急性が低い連絡の場合、留守電にメッセージを入れておけばよいことは先ほど述べましたが、気を付けるポイントがあります。それは、
留守電に入れるメッセージを事前に考えておくこと
です。
教師が伝えたいことを保護者が留守電を聞いただけでわかるようにすることが大切です。
例えば、上記の「図工の時間にカッターナイフで指をけがした。手当てをしたが家庭でも見てほしい。」という内容の場合を考えてみると…
お世話になっております。○○さんの担任のぴーちょこです。
失礼ですが、留守電にてお伝えさせていただきます。
本日、図工の授業でカッターナイフを使っているときに、うっかり左手のひとさし指を切ってしまいました。すぐに保健室に連れていきましたが、病院に行くほどの深い傷ではなかったので、保健室で止血をして包帯を巻いてもらいました。
幸いにもすぐに血は止まり、痛みもあまりないというので、○○さんはまた意欲的に図工の授業に参加することができました。
帰り際に再度○○さんに確認したところ、「大丈夫です」と言っていましたが、一度ご家庭でも見てあげてください。
ご心配をおかけして申し訳ありません。よろしくお願いします。失礼します。



何が起きて、どう対応したか、その後子どもの様子はどうだったのかを簡潔に説明しましょう。
緊急性の低い連絡は、連絡帳を活用する
緊急性の低い連絡は、連絡帳で伝えるのも一つの方法です。
無理して電話で伝える必要がないことは、連絡帳で済ませてしまえば、電話がつながるかどうか心配する必要がありません。
ただし、気を付けるポイントは、
子どもに、きちんと連絡帳を保護者に見せるよう伝えること
です。
小学校の低学年の保護者だと、毎日連絡帳を見てくれているでしょうから、あまり心配はありません。また、連絡帳に毎日保護者の印鑑が押してある子も大丈夫でしょう。
問題は、連絡帳を保護者に見せるか心配な子への対応です。
必ず、下校の直前に、「連絡帳をおうちの人に見せること。いなかったら、先生が書いた部分を開いて机に置いておくこと」を伝えましょう。
なお、私は連絡帳と電話と併用することもありました。電話で、「連絡帳にも書かせていただいたのですが…」と言えば伝わります。
②緊急性の高い電話は、留守電の時間になってもこちらから再度連絡する
緊急性の高い連絡とは何でしょうか。
・相手にけがをさせた。
・いじめの被害者、または加害者であることがわかった。
・犯罪に関わる行為をした。
などの迅速な対応が求められる事案です。


上記のようなことは、できる限りその日に保護者に連絡を取りたいものです。
しかし、勤務時間や留守電の設定時間などがありますから、必ず管理職や生徒指導担当、学年主任などと相談しながら進めてください。
保護者になかなか伝わらないからと、連絡を後回しにしてしまうと、けがの被害者やいじめの被害者は学校の対応の遅さに不信感をもちます。



保護者は一刻も早く解決してほしいと思っています。学校事情まで考える余裕はありません。
勤務時間内に保護者に連絡が取れない場合、留守電にメッセージを入れることになります。しかし、保護者が着信に気付いて折り返し学校に連絡しても、電話がつながりません。
そのため、留守電に、
「どうしてもお伝えしたいことがありますので、また〇時〇〇分ごろにこちらから電話をかけさせていただきます。」
とメッセージを入れておく必要があります。
この先は、勤務時間外の対応になっていきますし、いつごろ保護者と連絡がとれるかもわからないので、必ず管理職の先生を中心としたチームで対応してください。
③自分のスマホやケータイを使用しない


上記の②「緊急性の高い電話は、留守電の時間になってもこちらから再度連絡する」に関連します。
保護者に連絡を取りたいけど、留守電の時間になってしまった。こちらからかけるしかないけど、学校をでなければいけない事情がある。
こうなった場合、自分のスマホやケータイで保護者に連絡をとればいいやと思うかもしれません。でも、自分のスマホやケータイを使用するのはやめましょう。
自分のスマホ、ケータイの番号を保護者に知られていいですか?
生徒指導の対応はチームです。どうしても自分から保護者に連絡をとる時間が作れないなら、事情をきちんと話して別の先生に対応してもらいましょう。または、学校専用のスマホやケータイがあれば、それを借りていきましょう。



私も昔、自分のケータイから保護者に連絡したことがあり、そのうちの一人が学校を介さず電話をかけてくることがあったので困りました…。
今回の留守電の記事に関係なく、個人のスマホやケータイを保護者との連絡に使うのはやめましょう。
その他、電話対応で必要だと思うこと
留守電対応が広まったことで、保護者対応のストレスが減り、夕方の仕事効率が上がったのは間違いありません。
ちょっと話は変わりますが、電話対応で留守電以外に必要だなと思うことを挙げていきます。興味のある方は、このまま続きをご覧ください。
「録音しています」のアナウンス
「録音しています」のメッセージが入るように設定されている学校は、最近増えていると思います。
学校に文句を言いたい保護者も、このアナウンスを聞くとある程度冷静になるそうです。もちろん、関係ない人もいるでしょうが…。
それでも、ある程度の効果はあるので、導入されていない学校はぜひ取り入れてほしい機能です。
こっそり電話対応をさせない環境づくり
これは保護者対応に電話をかけるときのことです。
保護者に電話をする時、他の先生に聞かれないように、電話の子機をもって隠れて電話をする姿を何度も見てきました。
保護者への電話対応が苦手な先生に多く見られますが、電話の対応をめぐって「言った」「言ってない」で問題になることがあります。
近くで管理職が聞いていればこのような問題になりにくいので、こっそり電話をさせないことが大切です。
担任を守る電話対応専任のスタッフ導入
これは私の願望です。
保護者からの電話は直接担任につながらないように、専任のスタッフを常駐させる。電話対応のスタッフが話を聞き、必要に応じて担任につなぐ。
クレーム対応も専任のスタッフが受けることで、教員側の負担が大きく減るだけでなく、仕事の能率も上がると思います。
新任教師向け、電話対応の研修
電話対応に慣れていない新任教師向けに、電話対応の講習が必要だと思います。しかし、きちんと電話対応を研修で行う学校は多くないと思います。
保護者との関係作りのためにも、電話対応の研修は必須だと思いますがいかがですしょうか?


以上です。
ここまでご覧いただき、ありがとうござました。








