学級王国を無くせ! 学年は「チーム」だ!

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この記事は、以下の人におススメとなっています。

  • 小学校、中学校の教員
  • 学年主任
  • 新任、または経験年数3年未満の経験の浅い教員
  • 学級経営に悩んでいる先生
  • 学年間の連携で悩んでいる先生

学校は校長をトップとした一つのチームであることが求められます。その中でも特に、学年はチームとして機能していることが求められます。

チームとして機能していないと、学年の児童生徒に落ち着きが見られない、保護者から不信感をもたれるといった問題が起きやすくなります。

学年主任は、学年をチームとしてまとめていかなければなりません。学級担任は、学年は「チーム」であるという意識をもって自分の学級を見ていく必要があります。

目次

学年が「チーム」として機能しないと?

学年がチームとして機能しないとどんなことが起こるか、具体的に説明していきます。教員経験がある方なら、すでに経験済みかもしれません。

子どもたちが混乱する(小・中学校とも)

A先生とB先生がそれぞれ違うことを言っていたら、子どもたちはどう行動したらよいですか?

例えば中学校で、A先生の学級では制服の指導がゆるく、B先生の学級はものすごく厳しいとしましょう。子どもたちは、A先生が正しいのか、B先生が正しいのかわからなくなります。

でも、子どもたちは自分の都合の良い方に合わせようとするので、B先生を批判するでしょう。でも、実は学校全体の指導方針としてB先生の指導が基準となっていて、A先生はそれにしたがっていないだけかもしれません。

教師一人一人が違っているのは当たり前ですが、生徒指導に関わる指導方針は全体で統一されていなければなりません。というか、校則としてきちんと生徒に示されており、それに沿う形で指導しているはずです。

学年として(学校として)指導方針が一貫していないと、子どもたちは混乱し、荒れにつながっていきます。

教師がチームとして連携していれば問題にならないことが、チームとして機能していないために問題が起きるのです。

保護者が不信感をもつ(小・中学校とも)

上記のような、先生によって指導方針に差があると、子どもたちは不満を募らせます。すると、子どもを通じて保護者に話が伝わり、今度は保護者が学校に対して不信感をもつようになります。

先ほどの指導がゆるいA先生と、指導が厳しいB先生の話で、B先生が学校や学年の指導方針に合わせて、つまりチームとしての意識をもって指導に当たっていたとしましょう。

子どもたちは指導のゆるいA先生の方が楽なので、B先生は批判されます。すると、それが保護者にも伝わり、B先生の評判が落ちるかもしれません。

真面目に取り組んでいるB先生が評判を落とし、学年の方針に合わせていないA先生が「理解がある先生だ」と評判を上げる可能性もあるでしょう。

保護者は、全ての先生のことを把握しているわけではありません。そもそも、普段から教師と保護者はあまり接点がないのですから、わが子や保護者ネットワークでの話からしか情報を得られません。

ですから、いろんな話が入ってくると、相対的に教師を判断するようになります。

ぴーちょこ

今年の先生はダメ、去年の先生は良かったというのも、相対的に評価しているからですよね。

これが、学年の指導方針がチームとして一貫しているなら、「指導が先生によって違う!」という不信感は保護者の中に生まれません。

学習進度がそろわない(小学校)

小学校の場合、基本的に全教科を担任が指導します。そのため、学年内できちんと連携できていないと、学習進度がバラバラになります。

学年がチームとしてまとまっていれば、学習進度についてすぐ話題になるでしょう。でも、それぞれが好き勝手にやっていたら、学習進度もばらばらになります。

学年がチームとして連携していないと、小学校の場合、学習で次のような問題が起こる可能性があります。

  • 夏休みまでに、終わった単元が学級によって違う
  • 調理実習で、材料の分量や種類が学級によって違う(担任任せ)
  • 理科の実験道具を順番に使い回さず、毎回それぞれの担任で準備する

双子の子が学年にいると、ほとんどの場合、違う学級になると思います。学習進度があまりにも違っていたら、保護者はどう思うでしょう。

また、学年間で連携できていないと、通知表でも評価の仕方がそろわないことがあります。双子の子がテストで同じような点数をとってくるのに、通知表があまりにも違う場合、保護者はどう思うでしょうか。

ぴーちょこ

学年主任が中心になって話題にしないと、小学校の場合、学習進度がどんどんずれていく可能性があります。

気が付いた時には深刻な学級崩壊(小学校)

小学校の場合、担任が自分の学級を抱え込んで、学級王国にしてしまうことがあります。学年がチームとしてまとまっていないと、隣の学級が何をしているかわかりません。というか気にしていません。

そうすると、子どもたちの小さな変化に気づけません。担任同士がお互いのことに関心がないので、気に留めないのです。

その結果、学級がじょじょに荒れてきているのに、対応が後手になってしまいます。担任は周りに相談せず、周りの担任も荒れてきた学級に気づかず、問題が表面化した時には深刻な学級崩壊になっている恐れがあります。

私も自分が若かったころ、自分の学年で以下のようなことがありました。

学年主任のC先生、私、私より少し年下のD先生の3人で、5年生を担当しました。C先生は50代のベテランですが、学年主任として学年に関わる行事は計画するものの、学習や生徒指導に関しては一切口を出さない先生でした。

秋くらいになると、C先生が教頭先生や校長先生と個別に話しているのを見るようになりました。どうやら、学級が荒れ始めていたようです。C先生は学年主任のA先生にあまり相談していなかったようです。私には全く相談がありませんでした。後から知った話ですが、保護者から苦情が来たら、直接教頭先生に相談していたようです。

結局、C先生の学級は、雰囲気がよくなることなく1年間が終わりました。だれかの物を壊す、無視をするといったことが常態化し、長縄の集会では、わざと引っかかって楽しむような学級になってしまいました。

ぴーちょこ

C先生の学級、結局その年度で立て直すことができませんでした。もっと早くわかっていればと、私自身も後悔した1年でした。

なぜ、チームとして機能しないのか

学年がチームとして動くことの大切さをまとめてきました。学年がバラバラだとダメだということが、改めて確認できたかと思います。

では、なぜ学年がチームとして機能しないのか。それにはいろんな理由があると思います。

学年主任の意識が低い

これは、中学校では当てはまりにくいと思います。学年主任を任される先生であれば、学年がチームとして動くことの大切さを経験しているはずだからです。

中学校は、チームで生徒指導に当たっていかないと大変です。チームとしてまとまっていても、生徒指導が大変な年はあります。

ぴーちょこ

子どもたちは大変だったけど、学年はまとまっていたから乗り越えられたという先生の話をよく聞いたものです。

学年主任の意識が低いという問題は、小学校の方で起こり得ることだと思います。

小学校の学年主任の場合、言い方は悪いですが、実力もないのに年齢だけで学年主任になっている先生もいました。

学年主任以外の教員の意識が低い

学年主任はチームとしてやっていきたいという意識があっても、他の教員の意識が低いため、学年がチームとしてまとまらないことがあります。

中学校の場合は、それではうまくいかないと自ら気づいたり、周りの先生にサポートされたりする中で、チームの一員として連携してやっていくことの大切さを学ぶものです。

しかし、小学校の場合、学級王国を作って勝手気ままに振る舞う先生がいます。

私の経験上、こういう先生は、自分の学級経営に自信をもっている場合がほとんどです。このような自分で何でもやってしまう先生は、ぬけがけをすることも多々あるので、注意が必要です。

チーム意識の低い先生が学年主任になった時、そのまま自分の学級のことばかりになるか、または自分のやり方を周りの先生にも押し付けるかどちらかになりやすいです。

ですから、若いうちから何でも学年間で相談しながら進めていくチーム意識を育てることが大切です。

ぴーちょこ

若手教員の場合、副担任や専科教員など担任をもたない先生の方が、チームへの意識が高い場合があります。いろんな学級に入るからですね。

学年の教員間の仲が悪い

当たり前ですが、学年の教員間の仲が悪いとチームとして機能しません。仕事なのできちんとやれよ!と思うかもしれませんが、小学校における年配の先生は、なかなかに頑固です(-_-;)

仲が悪いと周囲が知っている場合は、同じ学年にされないはずなのですが、年度途中で仲が悪くなってしまった場合、どうしようもありません。

もしこの状態に巻き込まれそうなら、早めに管理職に言いましょう。対応してもらえるかどうかわかりませんし、本人たちがうまくやろうとするかわわからないので、あまり期待しないようにしてください。

学年を「チーム」として機能させるために大切なこと

学年主任なら

自分が学年主任であれば、年度当初にチームとしてやっていくことを、学年の先生たちに話しましょう。そして、学年間で役割を分担し、それぞれの長所を生かして学年経営をするようにします。

若手の先生に対しても、しっかりと役割を与え、バックアップもしっかり行いましょう。

中学校では、生徒指導上、役割分担が必要な場面が多々あります。女子生徒への指導は、女性教員の方が適している場合があります。対応が難しい生徒には、注意する役とフォローする役に分かれて対応する場合もあります。

学年全体を見るという意識で、同じ学年の先生方に働きかけましょう。

学級担任なら

学年担任であれば、学年主任の指示を受けて行動することはもちろん、進んで学年のために動きましょう。特に、小学校では、忙しい学年主任を助けましょう。

  • 学習プリントを他の学級分、まとめて印刷する。
  • 掲示物を学年主任の分も貼ってあげる。
  • 学年集会では、準備をしたり児童を整列させたりする。
ぴーちょこ

私も自分が学年主任の時、進んで学年のために動く先生がおり、とても助かった経験があります。

最後に

現在の学校は、増加する不登校の児童生徒への対応、ネットを中心に多様化するいじめへの対応、保護者への苦情対応など、個人でできることには限界があります。

つまり、学校はチームで対応しないとどうしようもない時代なのです。その基盤として、まずは学年間がチームとしてしっかり機能していることが重要です。

今は、スクールカウンセラーや児童相談所など、学校外の力を借りることが当たり前になっています。それなのに、いまだに好き勝手にやろうとする学級担任がいることも事実です。

この記事をご覧の先生方は、きっと教員としての向上心にあふれた先生だと思います。そんな先生方のご活躍を願っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

元教員。
公立の小中学校で20年間勤務した経験を生かし、今をがんばる先生方を応援するサイトを作っていきます。

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