教員を辞めようと思っている人へ、8つのアドバイス

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教員を辞めようと思っている人へ、私からのアドバイスです。

教員がブラックすぎるということが、社会的に周知されるようになってきました。労働環境だけでなく、生徒指導、保護者対応など様々な理由で辞めたいと思っている先生が全国にたくさんいると思います。

追い詰められている人は、まず下記の記事を読んでください。

ただ、退職する意思が固まっておらず、迷っている人は以下のことを参考にしてもらえるとよいと思います

教員を辞めたぴーちょこが実際の経験を交えながらまとめます。

目次

公立学校教員はクビにならない

当たり前ですが、公立学校教員は公務員ですから、クビになることは原則ありません(悪いことしちゃったらダメですが…)。クビになることを考えなくてもよいので、続けている限り給与の心配をすることはありません。経験年数とともに年収も上がっていきます。

年齢年収
22歳~23歳377万円
24歳~27歳423万円
28歳~31歳514万円
32歳~35歳618万円
36歳~39歳683万円
40歳~43歳735万円
44歳~47歳782万円
48歳~51歳825万円
52歳~55歳865万円
56歳~59歳898万円
48歳~51歳825万円
52歳~55歳865万円
56歳~59歳898万円
「平均年収.jp小学校教諭の年収」より転載 https://heikinnenshu.jp/other/teach.html
ぴーちょこ

新型コロナの影響でボーナスが出ない企業がある中、公務員だからボーナスもきっちり出るしね。

実はクビにならないということが一番のネックで(良い意味でも悪い意味でも)、退職に踏み切れない理由の一番に挙がると思います。

公立学校の教員を辞めるということは、安定した生活を捨てるということです。仕事で悩んでも、給与で悩むことはありません。学級崩壊になっても、親からのクレームが多くても、給与が下がることもありません。

2019年5月、トヨタ自動車社長の豊田章男さんが、「終身雇用は難しい」という発言をしました。ああ、世界のトヨタもそんな時代なんだなと感じます。

その点、公務員はクビにならないので、今のところ安心できます。公立学校民営化!のような、とてつもない教育大改革が起こらない限り多分大丈夫です。(そもそも公務員がクビになるような状況だったら、日本の経済は破綻しているはず…。)

退職する前に、休職して考えてもよい

辞めるか復帰するか考える時間的、経済的余裕がある。

精神的に参ってしまった、肉体的に耐えられず倒れてしまったなどの理由で90日間の病気休暇を取得したとしましょう。それでも足りなければ休職することができます。そう、教員は長期間にわたって身分が保証されているのです。

ここからは、教員の仕事が辛くて、精神的に参ってしまったので休むという想定で話を進めます。

病気休暇って何?

精神疾患で休むとなれば、まずは病気休暇を90日取得することになるよ。この間は、給与は全額支給されるよ。ただし、一週間以上の休みが必要な場合、医師の診断書が必要になるからね。

90日の病気休暇でも治らなかった場合は?

その後は、病気休職となるよ。最大で3年間、教員としての身分が保証されるんだ。1年間は給与の8割、その後も共済組合から傷病手当金とかが給付されるから、無収入になることはないよ。

ぴーちょこ

ただし、公立学校教員、つまり地方公務員は条例によって規定されているから、詳しくは該当の自治体を調べてみてね。でも、大きく変わらないよ。

私も2年目に精神的にダメになって休みました。病気休暇、休職の期間によく考えて、結局復帰しました。休んでいる期間もある程度の収入はあるので、自分の心身の健康状態、やりたいことをなどを総括的に考えて、復帰するのか辞めるのか決めることができます。

公立学校教員は失業保険が出ない

公立学校の教員は、失業保険が出ません。  

失業保険とは通称で、正確には雇用保険に関する失業手当のことを言います。企業に勤める人は、会社都合で仕事を失ってしまうことがあります。そのため、雇用保険に加入しています。  

しかし、公立学校の教員は公務員なので、自己都合でない退職は普通ありません。要はクビにならないということです。そのため、雇用保険法の適用除外となっています。  

その代わり、勤務年数に応じた「退職手当」という、いわゆる退職金が支払われます。  

しかし、退職金が失業保険に相当する金額に満たないときは、条件を満たせばその差額をもらえます。埼玉県教育委員会のページがわかりやすいです。勤続期間がおおむね3年未満の方が該当するようです。この差額分をもらうことが、公立学校の教員も失業保険が出ていると勘違いされているかもしれません。
 

私は教えてもらうまで、退職金ももらって失業保険ももらえると思っていましたが、退職金のみでした。ですから、この退職金をもとに求職活動をすることになります。    

退職手当 > 雇用保険の失業手当 ・・・退職手当のみもらえる

退職手当 < 雇用保険の失業手当 ・・・差額分を退職手当としてさらに支給  

私のように経験年数がそれなりにある人は、まとめて支払われる退職手当のみになりますので、退職した翌月から一気に無収入になります!  

教員を退職しようと思うと、通常は年度末となる3月末になります。

教員の仕事をしながら、次の就職先を探すことは困難です。できないことはないと思いますが、ただでさえ多忙な仕事内容に加え、平日の日中は拘束されているので、精神的にも時間的にも厳しいです。

私も結局退職してからの再就職活動となったので、ある程度の貯金がない場合は注意が必要です。

女性にとって恵まれた環境である

公立学校の教員は、女性にとって恵まれた環境の仕事だと思います。

公立学校教員は公務員なので、福利厚生がしっかりしています。そのため、子育てを支援する様々な制度があります。

  • 産休中は、給料が満額支給される。
  • 産休後の育休に入っても、育児休業手当金が給付されます(子どもが1歳になるまで)。最初の半年は、給料の67%、それ以降は50%給付されます。【参考】育児休業手当金(公立学校共済組合)
  • 育休は最大で3年間、取得できる。
  • 育休が明けても、育児短時間勤務などの働き方ができる。
ぴーちょこ

子どもが1歳になるまで育児休業手当金がもらえるし、最大で3年間も育児休業が取れるよ。

ぴーちょこ

3年間の育休中に、もう一人出産して続けて育休を取る先生も結構いるよ。それでも教員の身分はしっかり保証されていて、復帰も問題ナシ。

一番恵まれているといえるのは、給与ではないでしょうか。アドバイスの1つ目「公立学校教員はクビにならない」にある年収を見ていただければわかる通り、年功序列で年収が上がっていきます。

公務員である公立学校教員は、民間と違い、男女間の給与差がありません。「級」と「号給」によって給与が決められるため、男女による差はないのです。

ぴーちょこ

是正されてきたとはいえ、民間ではまだまだ男女間の給与差があるようです。

教員の仕事も子育ても忙しい!といっても、辞めずになんとか続けている女性の先生がたくさんいます。

子育てが一段落した50代の先生の中には、経済的に余裕ができたことで、自分の趣味にお金をかけている人もいました。

結婚をせず、悠々自適に一人の生活を謳歌されている50代の先生の腕時計は100万円のブランドものでした(汗)。

年収を見れば、50代の女性の先生は、民間に勤める同姓の人だけでなく、民間の男性よりも高いということがあります。

公立学校の教員に限らず、公務員になった女性は勝ち組だ!という人もいるくらい、恵まれた環境なんですね。

転職先を見つけにくい ~転職サイト・転職エージェントの活用が有効~

一般的に、教員からの転職は職種が限定されやすいと言われていますが、これは人によるかもしれません。  

・ 退職した時の年齢(企業によって年齢制限があるため、若い方が有利)  

・ 専門教科(英語科、技術科などはアピールポイントになるかも) 特に、持っている教科の免許によっては、専門性を発揮できる仕事があるかも
 

しかし、教員採用試験の勉強だけで、一般企業を経験したことがある人は少ないのではないでしょうか。いったい自分に何ができるのか、辞めたら何に転職したらよいのかなど、わからないことだらけだと思います。  

そのため、私は転職サイトへの登録をおススメします。

転職するかしないかではなく、教員の外の世界を知っておくためです。

登録しておけば、自分の希望に合致する求人が登録したアドレスに送られてくるので、忙しい中で転職先を探す手間が省けます。

転職サイトに登録するメリットは、以下の点だと思います。

忙しい中でも、求人情報を得られる

教員を辞めたいと思っている人は、当然多忙感を感じながら働いていると思います。子どもたちが下校するまで、一息もつけないという先生も少なくありません。

子どもが帰ったら、テストの採点、ノートの点検、学年通信などの書類作成、校務分掌の業務…、あ、不登校の子の家庭に電話をかけなきゃ、なんてやっていたらあっという間に外は真っ暗です。

そんな中、転職先を探そうなんて時間は作れませんし、そんな気分にもなれません。体は疲れ、でも明日のことを考えなければならなくて…すると翌日がやってきます。

しかし、転職サイトに登録しておけば、定期的に情報を送ってくれます。ちょっとスマホを見るだけです。複数の転職サイトに登校しておけば、それなりの情報量が集まるのでおススメです。

転職サイトの特徴とは、

  1. 求人検索機能がついているので、希望条件を指定すれば、短時間で希望の求人を探し出すことができる。
  2. 希望の条件を登録しておくと、条件がマッチした企業からオファーが来る。
  3. 転職に役立つ情報(履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策など)も掲載されている。
  4. 自分に適した意外な職種が見つかることがある。

私も、忙しい中でしたが、寝る前に転職サイトをのぞくことが楽しみになっていました。

職場に内緒で転職活動ができる

教員を辞めようと思っている人は、周りの人へ相談しづらいと思います。「私、もう教員辞めるからなんかいい仕事紹介してよ~。」なんて同僚に言えないですよね(笑)。迷惑をかけるかもしれないから、一部の同僚に打ち明けることはあっても、ひっそりと行動しようとするのが一般的だと思います。  

そもそも、教員を辞めるのは別の記事でも紹介したように、割合的に非常に小さいです。そのため、公立学校の教員を途中で辞めるのはごく少数です。そのため、周りへの影響を考えれば、転職活動をするなら内緒で始めたいなと思う人が多いのではないでしょうか。

教員を続けるべきかどうか、検討する材料になる

転職サイトを見ることは、教員を続けるべきかどうか検討する大きな材料となります。求人情報を見て、自分がやりたい仕事があるのか、待遇はどうなのかなどを見ると、案外、教員を続けた方がいいかなあという気持ちになるかもしれません。

特に、教員しか仕事の経験がなく、経験年数も長い先生ほど、二の足を踏むかもしれません。

逆に、新しいことにチャレンジしたい、環境を変えたいと考える人には、転職に前向きな気持ちになれると思います。

転職サイトだけでは不十分なら、転職エージェント

転職エージェントとは、転職を希望する人と、採用したい企業側のお互いのニーズや条件を把握し、セッティングしてくれるプロのことです。

転職エージェントの活用することで、さらに転職が進めやすくなります。

退職にはエネルギーが必要となる

教員を辞めることだけではありませんが、何かをしようとすることにはエネルギーがいります。多くのエネルギーを使って退職に向かうのか、教員を続けることに使うのか、人それぞれだと思います。

退職するといっても、退職を決意するまで、決意して校長や教育委員会への報告、退職手続き、次の仕事の決定などやることは山積みです。

ぴーちょこの経験を言わせてもらえば、一番エネルギーが必要なのは、「退職を決意するまで」です。私は、教員を辞めることを事前に当時の校長先生に相談していたので、最終的に「辞める」と伝えること自体にはさほどエネルギーは必要ありませんでした。

ただし、これは人によると思います。上司から退職を引き留められるようであれば、それを説得するだけの行動が必要になります。これもまたエネルギーを使います。

ただ、本当に教員を辞めたい、退職したいと決意している人であれば、退職を受理された後は気持ちがずいぶん楽になります。そこまでは本当に大変ですが、がんばってください。

 

できれば円満退職にもっていこう

様々な記事で言っていますが、私は教員の仕事はすばらしいと思っています。辞めた人が何を言っているんだと思うかもしれません。しかし、私は日々子どもたちと過ごす先生たちを尊敬しています。  

人生は一度きりです。後悔しないように生きるために、教師を続ける、辞めるというのは人生の選択として考えなければならない時が来るかもしれません。  

ただ、退職するにあたって、できる限り円満に退職できるように筋はきちんと通した方が良いと思います。それは、退職したといっても、また非常勤講師や臨時的任用教員として働くかもしれないからです。

実際、私ぴーちょこは、正規として働くことを辞めた後に、非常勤講師や臨時的任用教員としてしばらく働きました。円満に退職すると、講師が足りない時に声をかけてもらえると思います。

また、円満に退職することで、自分自身の気持ちも余裕ができますし、次の転職先にも円満退職であれば悪い印象は与えないと思います。

おまけ:退職後に住民税の支払いが来るので注意!

住民税は、前年度の所得をもとに計算されます。つまり、退職した翌年は、収入がなくても、働いていた昨年の所得を基に計算された住民税を納付しなければなりません。

このため、退職してから1年間は住民税の負担が重くなりがちなので、あらかじめ住民税として納付する分のお金を用意しておくことが大切になります。

ぴーちょこ

ぴーちょこも、退職した年の6月に住民税の通知が来たよ。1年分で約43万円でした…。

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この記事を書いた人

元教員。
公立の小中学校で20年間勤務した経験を生かし、今をがんばる先生方を応援するサイトを作っていきます。

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