教育実習の前に①に続き、今回は「教育実習中の心構えについて」です。
前回もふれましたが、私、ぴーちょこは、
・指導教官として、直接教育実習生を指導した
・教務主任として、教育実習生に関わる業務全体を担当した
経験があります。それらの経験を踏まえて、教育実習生に求める心構えについてまとめていきます。少し長くなりますが、最後までお付き合いください。
教育実習の手引きを読んでおく
まず、事前に必ずやっておくこととして、大学側から渡される「教育実習の手引き」をしっかり読んでおきましょう。
特にしっかり読んでおく必要があるのは、実習中に作成しなければならない書類です。後で、「大学側に出さなければいけない書類ができてない!」ということにならないようにしましょう。
- 教育実習の記録(毎日)
- 学習指導案(何部必要か確認)
- 教育実習の反省(最後にまとめるもの)
大学によって、作成しなければならない書類や部数は微妙に違います。しっかり読んで、指導教官になった先生に伝えることが大切です。
実習先との事前打ち合わせについて
通信制や教員養成系大学でない場合、教育実習先を自分で探す場合もあるかと思いますが、ここでは大学側が教育実習先の段取りをしてくれることを仮定して話をします。
教育実習先がわかったら、実習先の学校にあいさつの電話をかけましょう。教育実習でお世話になることのあいさつですから、難しく考える必要はありません。
電話をかける時間は、午前8時~9時頃、午後4~5時頃は学校側が忙しい時間なので、避けた方がよいでしょう。この時間帯は、職員の打ち合わせや会議をしていることが多い時間帯です。
まあ、どの時間帯も学校は忙しいけどね。
電話のかけ方(例)
こんにちは。〇〇大学△△学部の□□と申します。今年度の教育実習の件でお電話させていただきました。担当の方はいらっしゃいますか。
(不在の場合)改めてお電話させていただきます。いつ頃、お電話してもよろしいでしょうか。
(担当者に変わった場合)
始めまして。〇〇大学△△学部の□□と申します。今年度教育実習でお世話になります。よろしくお願いします。
(この後、実習先の担当者からいろいろ説明を受けると思います。)
ありがとうございました。(事前打ち合わせ日が決まれば)〇月△日、お伺いします。よろしくお願いします。失礼します。
1日の過ごし方
さて、ここからが本題です。実際に教育実習が始まってからの心構えを書いていきます。イメージをつかんでもらうために、大まかな1日の過ごし方についてまとめていきます。
始業前
子どもたちが登校する前に出校すること。そして、登校してくる子どもたちにあいさつをしましょう。控室にこもっていないで、積極的に子どもたちに関わるようにしましょう。
また、指導教官の先生と当日の打ち合わせをします。
授業時間中
授業を観察するときは、教師の動き、子どもたちの様子について気付いたことをメモしましょう。疑問に思ったこともメモしておき、後から時間のある時に質問をします。
最初は、授業のポイントなど、専門的なことはわからないものです。ですから、事前にどんな授業か、授業のポイントは何か聞いておくとよいと思います。
指導教官以外の先生の授業を見せてもらう場合、必ず事前にお願いのあいさつに行きましょう。指導教官が段取りをしてくれたからといって、あいさつもなくいきなり授業を見に行き、後から苦言を言われる実習生が結構います。
社会人としての常識も勉強する機会であることを忘れずに!
休み時間
小学校の場合、休み時間は子どもたちと遊びましょう。天気がよければ積極的に外へ遊びに行きましょう。休み時間は、子どもたちとの距離を縮める絶好のチャンスです。
中学校の場合でも、積極的に生徒に話しかけましょう。年齢が近いというだけで、子どもたちは親近感をもって話をしてくると思います。中には話しかけても、あまり反応をしてくれない子もいます。しかし、思春期特有の反応だと思えばいいです。嫌われているわけではありません(笑)。
授業では見られない子どもたちの一面が、休み時間に見られることがあります。
給食
給食は、積極的に配膳の手伝いをしましょう。給食指導も大切な学級担任の仕事です。手伝いながら、配膳を円滑に進めるために、どんな工夫をしているのか学びましょう。
最近は、食物アレルギーがある子が増えています。除去食や家庭からの持ち込み食など、子どもに合わせて対応は異なります。絶対にミスは許されないので、食物アレルギー対応が難しい子がいたら、担任に任せましょう。
会食は、子どもたちと一緒に。グループで食べることが多いので、毎日順番に回りましょう。給食は、子どもたちがホッとできる時間の一つです。子どもたちと一緒に楽しく食べましょう。
その時に、箸の持ち方や食器の扱いなど、食事のマナーについて話ができるといいですね。
なお、新型コロナウイルス感染症が広がってから、給食の時間は一方を向いて黙って食べることが多くなっています。その場合は、学校の指導方針にしたがって静かに食べてください。
清掃
清掃も子どもたちと一緒に活動しましょう。間違ってもメモを取りながら、子どもたちの様子を見て回ることはしてはいけません。
子どもたちと一緒に清掃に取り組みながら、掃除道具の扱い方の間違いに気づいたら、優しく教えてあげましょう。
授業後
実習中に忘れてはいけない、大切な心構え
どの子にも同じように関わる
指導教官の学級の子どもたちの中には、自分から話しかけに来る子、話しかけられないけど寄ってくる子、自分から寄ってこない子など、いろいろな子がいます。
最初は積極的に話しかけに来る子とばかり関わりがちです。しかし、どの子にも同じように関わるようにしましょう。
子どもたち一人一人をしっかり理解することは、教員にとって当たり前のことです。教育実習でもそのことを頭に入れて、子どもたちと関わってください。
自分から話しかけに来ない子には、こちらからどんどん話しかけましょう。
小学校の場合であれば、おとなしい子を外遊びへ連れていきましょう。すると、積極的な子どもたちも寄ってくるので、「みんなで遊ぼう」と仕切りましょう。
私が担当した実習生も、遊びを上手に仕切って、おとなしい子が他の子と一緒に遊べるきっかけを作ってくれました。
明るく元気よく、前向きな態度で
教育実習中は、明るく元気よく、前向きな態度で臨みましょう。明るくエネルギッシュな先生は、子どもたちにとって魅力的に映ります。
あいさつや返事は大きな声で、笑顔を絶やさずがんばりましょう!失敗を恐れる必要はありません。学校は、教育実習生に現場の先生と同じことを求めていません。求めているのは、意欲的に教育実習に励む人です。
謙虚な気持ちで実習に臨む
明るく元気よく、前向きな態度は大切ですが、必ず謙虚な気持ちで実習に臨んでください。
学校現場は、毎日とても忙しいです。その忙しい中で教育実習生を受け入れます。指導教官は、実習期間中は教育実習生に合わせて学級経営をすることになります。
具体的に言えば、教育実習期間中は、実習生が授業を行う機関があります。当然、授業は遅れがちになりますし、実習生が授業をした後、指導教官が再度授業をやり直す必要がある場合があります。
貴重な機会をいただいて実習をさせてもらっていることを忘れず、謙虚な気持ちで臨みましょう。
「お願いします」「ありがとうございました」が口癖になるはずです。
実習生も守秘義務がある
教育実習中は、膨大な個人情報を知り得ることとなります。
当然ですが、教育実習生も守秘義務があります。子どもたちの個人情報を持ち出したり、漏洩したりしないように気を付けなければなりません。
教育実習期間中はもちろん、教育実習が終わっても、知り得た情報を絶対に出してはいけません。
現職の教員が個人情報を漏洩してしまうと、処分の対象となります。個人情報の取り扱いには十分に注意してください。
うっかりやりがちな例を紹介しますので、気を付けてください。
- 個人情報に関わることがパソコンの画面に表示されているのに、そのまま席を離れてしまう
- 子どもに関するメモが挟まったバインダーを、どこかへ置き忘れてしまう
- 個人情報のデータを、自分のUSBメモリやSDカードに保存する
家でやれることは持ち帰り、帰宅が遅くならないように
家でやれることは家でやるようにして、帰宅が遅くならないようにしましょう。
例えば、毎日記録する日々の実習記録は、家でやって次の日に指導教官に提出すればよいです。
その日中に提出と言われていたら、出してから帰ってね。
学習指導案も、大まかな内容や授業のポイントなどを指導教官に教えてもらったら、細かい作成は家で行いましょう。
なぜ帰宅が遅くならないようにした方がよいか。それは、
教育実習生が帰らないと、指導教官も帰れないから
です。
教員は多忙な仕事なので、午後6時や7時まで仕事をしている先生はたくさんいます。
しかし、中には熱心な教育実習生がいて、授業の準備のために午後9時を回っても帰らない実習生がいました。当然、指導教官も一緒に学校に残ります。
教員の中には、子育てや介護などで一定の時間には帰らなければならない人がいます。そういう先生が指導教官の場合も当然あります。
教育実習生なので、何をやるにしても時間がかかるのは当たり前です。しかし、家でやれることは家でやるようにしましょう。指導教官は、実習生が帰らないと自分が帰れないことはもちろん、自分の仕事にも本格的に取り掛かれません。
どうしても遅くなる場合は仕方がありませんが、できるだけ早く帰れるようにするという意識を忘れないようにしてください。
控室は常に整理整頓を
教育実習生用に控室が与えられた場合、常に整理整頓をしておきましょう。
控室を空ける場合、以下の点は必ず行ってください。
- ノートパソコンは閉じておく
- 教科書やノートなどは閉じて積んでおく
- 子どもの記録など、個人情報が記載されているものはカバンにしまう
鍵をもらっている場合は、必ず施錠してください。子どもが入ってくるかもしれません。
外部で児童生徒と個人的なやりとりをしない
最後に。これは犯罪にもつながる恐れがあるので、絶対に守ってください。というか、このサイトを訪れるような人は、教育に対して真剣な人なので心配はしていませんが。
外部で児童生徒と個人的なやりとりを絶対にしてはいけません。
中学校へ実習に行くと、個人的に生徒と仲が良くなって、ラインやメールアドレスを教える実習生が実際にいます。それが発展すると、学校外で出会うことにつながっていきます。
教育実習生であっても、教員と立場は同じと考える必要があります。子どもとの心の距離を近づけることと、プライベートは全くの別物です。子どもと教員の立場は明確に分けなければなりません。
最後に
もっと読みやすくまとめたかったのですが、伝えたいことをまとめていくと、やはり長くなってしまいました。
教育実習を前に、道具の準備だけでなく、心の準備もしておくことで、スムーズに実習を始められると思います。
もし、教育実習に行ったことがある人が身近にいたら、そうした人たちからもいろいろと話を聞くとよいです。行く先の実習校によって、経験してくることは違うと思いますが、いろんな話をきくことでイメージがわいてくると思います。
充実した教育実習になることを願っています。