職員室にはいろいろな先生がいます。
その中には保護者にも子どもたちにも、そして職場の仲間にも頼りにされる先生がいます。若い先生から見れば、「あんな先生になりたいな。」と思わせる先生です。
一方で、保護者とのトラブルや、仕事の失敗が多い先生がいるのも事実です。
今回は、「楽をすることばかり考えている先生は、保護者とのトラブルが多かったなあ」ということを思い出し、まとめていきます。
元教員として現場にいた経験から、具体的な実例を挙げながら紹介したいと思います。
「自分の職場にも似た先生がいる!」と思ったあなた。迷惑を被ったことはありませんか?
楽することしか考えていない先生は、子どもへの熱意がないので、どうしてもそれが行動に表れてしまいます。
保護者に対して丁寧な態度をとっていても、意外と保護者は教師のやる気のなさに気付いているものです。
ここでは私が出会った2人の先生を紹介します。
「子どもの自主性」を建前に楽をするA先生
A先生は、当時年齢的には30代で中堅と呼ばれる先生でした。
A先生は社交的で、明るい性格から保護者対応は上手でした。しかし、学級経営は自分が楽をするために、私からは結構信じられないことをやっていました。
A先生は、「子どもの自主性」ということを口にすることが多々ありました。しかし、私から見ればそれは自分が楽をするための建前だと感じていました。
いくつか具体例を紹介します。
音読カードの「担任のサイン」という箇所に押印するのを、係の子どもにやらせる。
宿題のチェックは、時間がかかる大変な作業です。これは現役の先生ならおわかりですよね。宿題のチェックをいかに効率的にやりつつ、宿題を忘れた子へ対応するか、いろいろ工夫されていると思います。
音読カードに担任の印鑑を押す作業を子どもにやらせるってどう思いますか?
しかも、A先生。「見ました!」などのスタンプではなく、自分の名前の印を押させていました。
教師がきちんと音読カードを見ていないという問題と同時に、他人の印鑑を押すという行為を子どもにさせていることも問題です。
常識ある人なら、他人の印鑑を触ってはいけないことを教えますよね。
A先生の他の事例を紹介します。
プリントの答え合わせを子どもたち同士でさせるが、担任はそれを確認しないで返却する。
プリントを子どもたち同士で答え合わせをさせることについては、別に完全に否定するつもりはありません。子どもたち同士の関係性から、お互いにプリントを交換して相互に答え合わせをさせる場合もあるでしょう。
A先生が問題なのは、子どもたち同士に答え合わせをさせたプリントを自分が確認しないことです。
子どもたちに答え合わせをさせた後、そのまま持ち帰らせてしまうのです。これでは、プリントからどの子がどれくらいできていたのか、どこにつまずいたのか把握できないですよね。
その他にも、A先生はいろんなところで楽をしている、というか問題の多い先生でした。
- 給食の準備をさせている間に、教室を離れ一服。
- スマホを見ながら廊下を歩く。
- 授業中、ほとんど板書をしない。
- 採点したテストや回収した通知表が、教室の教師机に散乱している。
A先生に対する苦情は、「勉強を丁寧に見てもらえない」というものが多かったです。当時の学年主任が嘆いていました。
ただ、A先生は子どもの扱いは上手で、学級が荒れることはなかったので、そういう点では保護者からの信頼はありました。ただ、しっかり学習を見てほしい保護者にとっては不満が多かったようです。
楽をしたい態度が露骨に出て、保護者の不満を買うB先生
続いては、当時40代のB先生です。
B先生は、とにかく無駄なことを極力しません。基本的な考え方は、「前年度と同じで!」。そして、子どもへの愛情はありません。(本人に言わせればあるのかもしれませんが、周りから見ると子どもへの愛情を感じません。)
副教材は前年度と同じものを購入
例えば、4月に補助教材を購入するときは、前年度のものと同じもの購入します。例えば、3年生の担任になったときは、前年度の3年生が購入したものと全く同じものを購入します。
他の教材を検討することがないので、当然早く終わります。でも、子どもにとって良いものを選んであげたいとか、自分が使いやすいものを選びたいとか思わないのか、いつも不思議に思っていました。
副教材以外でも、学年通信の文言はほとんど前年度のデータのままですし、校外学習の行き先も前年度と同じ。宿題の量も、前年度の先生に聞いて同じ出し方をします。
B先生のやり方はポリシーがないと感じてしまうのですが、前年度と全く同じということは、楽できるだけでなく、大きく逸脱しないので文句を言われにくいとメリットはあります。
子どもへの文句が多い
B先生はとにかく子どもへの文句が多いです。でも、楽をしたいB先生は向上心がないので、指導力がありません。
私が偉そうにいうのもなんですが、やはりB先生は指導力がなかったと断言できます。指導力がないので、思ったように子どもが行動できない。すると、子どもたちを叱る、職員室では子どもたちの愚痴を言う、という具合です。
具体的には以下のようなことがありました。
運動会で披露するダンスの練習でのこと。B先生は1年生の担任でした。子どもたちが隊形移動で円を作るところで、「等間隔に並びなさい」と指示。しかし、1年生にわかるはずがありません。「どうしてそんなに詰めるの!もっと間を開けなさい!」とヒステリックに怒るが、やはりできない。夕方、職員室でB先生は、「あの子たち、あんまり賢くないから…」と不満を言っていた。
賢明な先生ならお分かりですよね。具体的な指示を出さずして、1年生に伝わるわけがありません。
円形に等間隔で並ばせたいなら、円を描いたうえで印もつけておくとか、対角線に並ぶ子が誰か覚えさせるとか、いろいろと方法があります。
しかし、B先生は自分の指導を棚に上げて子どもたちのせいにすることが、しばしばありました。
教師失格だと思います。
当然、叱られた子どもたちはわけがわからず泣いてしまう子もいます。どう動いてよいかよくわからないのに、担任にはヒステリックに叱られる。だから不満をもった子どもが、保護者に話をすることがよくあったようで、B先生の指導に対して苦情が入ることがありました。
B先生のやる気がなく、子どもへの愛情が感じられない態度は、保護者だけでなく教師間でも評判が悪く、一緒に仕事をしたくないと感じている先生がたくさんいました。
だって、新しいことをやろうとすると、露骨に嫌な顔をするのですから。
最後に
教師は楽ができるところは、手を抜いてよいと思います。何でもかんでも全力では、疲れてしまいますし続きません。
しかし、A先生とB先生に共通している問題点は、「子どもに対して手を抜いていること」です。
子どもに対して手を抜くことに疑問を感じなくなったら、もはや教師失格だと思います。
もちろん、少しでも多忙化を解消するために、一言コメントをスタンプで済ませたり、プリントを自作ではなく業者の物を使用したりと工夫することは大切です。
しかし、A先生やB先生のように、子どもへの愛情が感じられないくらいの手の抜き方は、私には信じられません。そういった態度が子どもを通して保護者に伝わるので、苦情が来るのだと思います。
新任の先生が、年度末に保護者から「先生でよかったです」と言われる姿を何度も見てきました。保護者からすれば、教師の力量や指導力よりも、「わが子のためにがんばってくれた」という事実が大切なのでしょう。私も保護者の一人ですが、やる気のないベテランの先生より、経験が浅くても熱意のある先生の方が、わが子の担任の先生になってほしいと思います。