前回は、学級経営でやってはいけないことの教室環境についてご紹介しました。
今回は、「子どもへの接し方」です。
小学校でまだ経験の浅い、若手の先生方に向けての記事です。
子どもへの接し方でやってはいけないことを具体的に細かく説明していきます。私自身の経験も交えながら、教育現場で働いた生の声としてまとめていきます。
なお、イメージがつかみやすいように、「激情型」「臆病型」の2つのタイプに分けて、それぞれが陥りやすい間違いについてまとめていきます。
私は、「激情型」に近いです。
激情型は、カッとなりやすく、つい言いすぎてしまうタイプ
臆病型は、難しい問題に直面した時に、オドオドしてうまく言えないタイプ
だと考えてください。自分がどちらに近いかによって、気を付けることが見えてくると思います。
「激情型」「臆病型」の人が気を付けることをまとめた後で、誰もが気を付けることをまとめていきます。
激情型の人が特に気を付けること
「激情型」か「臆病型」かの2択で考えると、私は「激情型」になります。迷うことなく…。
実は私も若かりし頃はカッとなりやすく、子どもたちを怖がらせるような態度をとってしまったこともあります。ひとえに指導力のなさを高圧的な態度でごまかしていただけであり、間違った指導でした。
保護者からお叱りの言葉をもらったこともあり、経験とともに指導の仕方もちょっとずつ変わっていきました。
私のようにならないように、自分が激情型に近いと思う人は、以下の3点やらないようにしてくださいね。
状況を把握する前に叱ってはいけない
子ども同士のトラブルは防ぎようがありません。一緒に生活していれば、大なり小なりトラブルは起こります。しかし、トラブルを乗り越えて子どもは成長していくのですから、上手に対応することが大切です。
子ども同士のトラブルを解決するには、双方から話を聞くことが重要です。間違っても、状況を把握する前に叱ってはいけません。
特に、普段から問題行動が多い子どもだと、何かトラブルがあった時、すぐにその子のせいではないかと疑ってしまいます。
またあいつがやらかしたか!と思ってしまうことがありませんか?
しかし、必ず状況確認をし、話が矛盾していないことを確認してから、必要な指導をするようにしましょう。勝手に決めつけてはいけません。
もし、事実と違うのに叱ってしまったら、その子からの信頼はガタ落ちになります。保護者が怒って学校に連絡が入ることもあるかもしれません。
指導を焦って、状況把握ができていないのに叱ってはいけません。
子どもを脅すような高圧的な指導をしてはいけない
子どもたちが言うことを聞かないと、子どもを脅すような口調で指導する先生がいます。
いまだに、「てめえら!」「この野郎!」という言葉遣いをする先生がいます…。
しかし、そのような高圧的な言葉を使わないといけないのでしょうか。脅すような高圧的な指導をしなくても、上手に学級経営をしている先生が周りにいませんか?いますよね。
もちろん、荒れた中学校で子どもたちと真正面からぶつかるような日々を過ごしている先生は除きます。
教師が高圧的な態度で子どもたちに接するようになると、子どもたちは教師の顔色をうかがうようになります。すると、学級内が何だかギスギスしてきます。
子どもたちがのびのびと過ごすことができなくなります。
イライラした感情を子どもたちに前で見せてはいけない
教師だって人間ですから、イライラすることはあります。しかし、その感情を子どもたちの前で見せてはいけません。
先ほど述べましたが、子どもたちが教師の顔色をうかがうようになります。今は機嫌がよさそうだ、今は機嫌が悪いから話しかけてはいけないなど、子どもたちが教師に気を遣うようになります。これっていいことだと思いますか?
クラスの誰かを叱った後、その気持ちを引きずってイライラしたまま授業に入っていませんか?
他の子を指導したからといって、そのイライラを教師が引きずっていたら、真面目に取り組んでいる子どもにとっては迷惑です。
自分が子どもの時、感情の起伏が激しい先生がいました。とても怖かったです。
臆病型の人が特に気を付けること
次は、「臆病型」の人です。私の言葉の使い方が悪いので、臆病型と聞いてものすごく悪いイメージをもつかもしれません。
しかし、臆病型の人は、気が弱い反面、心やさしい人でもあります。このタイプの先生に救われる子どもたちは確実に学校にいます。
ただ、気が弱いことで、横着な子どもたちに乗り越えられて、学級が荒れてしまう可能性もあります。
自分は臆病型に近いなあと思う先生は、以下の3点に気を付けてください。
指導すべきことを見逃してはいけない
指導すべきことがあったら、絶対に見逃してはいけません。後から指導では遅すぎます。
私が勤務してきた職場にも、子どもに指導するのが苦手な先生がいました。
その先生は、目の前で子どもたちがけんかをしていたのを目撃したのに、その場で止めることをせず、職員室に戻ってきて担任に報告していました。自分ではどうしてよいかわからず、助けを求めたようです。
教育実習生か!とツッコみたくなりますよね。
当然、「どうしてその場で止めないの!」と言われていました。
この先生は、少なくともけんかしていた子どもたち、またはその現場を見ていた子どもたちにとっては、「注意しない先生」と認識されたでしょう。
指導しなければいけないことは、発見した時にすぐ指導しなければ意味がありません。
その場を見逃すようなことを学級でやっていたら、短期間で学級は荒れます。だって、注意されないのですから。
子どもに流されてはいけない
これも、指導することを見逃すことと似ています。子どもたちの言うことに流されてはいけません。
もちろん、子どもの話を聞いてあげることは大切ですし、子どもの要望を聞いていけないわけではありません。
いけないのは、「子どもたちにとって都合のよい要望を聞くこと」がいけないのです。
例えば、
「先生、今日は○○くんのお誕生日ですから、国語の授業をやめてお誕生日パーティーをやりましょう。」
「先生、今日は運動会の練習でみんな疲れているから、宿題を減らしてくれますよね。」
「先生、今度の席替えは自由席にしませんか。去年の先生はやってくれました。」
などなど。他にもいろんなことを言ってくるかもしれません。上記に挙げた例は、子どもたちにとって都合の良いことです。最初は、「多分ムリだろうな」と思って言ってくるでしょう。
しかし、一度要求を聞くと、必ずまた言ってきます。「前はいいって言ったじゃないですか」などと言いながら…。
別に対応は難しくありません。きっぱりと「それはできません」と言って、理由を簡単に説明してあげればよいのです。
最初にきっぱりダメだと伝えれば、子どもたちはそれ以上言ってこなくなります。
向かってくる子どもから逃げてはいけない
中には、小学生であっても教師に思い切り反抗的な態度をとってくる子がいます。しかし、その子から逃げてはいけません。
別に、負けないように反撃しなさいと言っているわけではありません。逃げてはいけないと言っているのです。
場合によっては、反抗的な態度をとる子をなだめたり、落ち着くまでそばにいたり、いろんな対応をしなければいけないかもしれません。
でも、絶対に逃げてはいけません。反抗的であっても、本人の気持ちを受け止めてあげてください。
誰にも共通すること
子どもとの約束を破ってはいけない
子どもと約束をしたのなら、必ず約束は守ってください。子どもたちに「ウソをついてはいけない」と普段から言うくせに、教師が約束を守らなかったら説得力がありません。
教師が思っている以上に、子どもたちは約束したことを覚えています。
もし、席替えは月1回行うと子どもたちに約束したのなら、必ず月1で席替えを実施しましょう。
子どもとの約束を破ってはいけないということは、「守れない約束をしてはいけない」ということでもあります。
教師の間違いを謝らずに流そうとしてはいけない
教師だって間違うことはあります。しかし、自分の間違いをごまかそうとしてはいけません。
子どもだから大丈夫だろうと思っても、子どもは教師が謝らなかったことを敏感にキャッチします。それが教師への不信感につながる恐れがあります。
間違ったことは、教師も潔く謝りましょう。子どもたちに、「正直に謝ることが大切だよ」と教えるのなら、自分も謝るべき時は謝りましょう。教師の姿を見て、子どもたちも素直に謝れる子に育つと思います。
子どもによって対応を変えてはいけない
子どもによって対応を変えてはいけません。
例えば、忘れ物をした時、子どもによって対応を変えたら、子どもたちはどう思うでしょう。
ある子は「次回は気をつけるんだよ」と言われ、ある子は「今日の給食でおかわりをしてはいけない」と言われ、またある子は大きな声で叱られた…。さあ、子どもたちはこの一貫性のない指導に何を思うでしょう。
自分の中で指導方針が決まっていれば、ブレることはないはずです。
ただし、実際はケースバイケースです。詳しくは別記事をご覧ください。
誰に対しても公平な態度で接してくれる先生だ、と子どもたちに思わせることで、子どもたちは安心して学級で過ごすことができるのだと思います。
まとめ
激情型の人が気を付けることは…
- 状況を把握する前に叱ってはいけない
- 子どもを脅すような高圧的な指導をしてはいけない
- イライラした感情を子どもたちに前で見せてはいけない
臆病型の人が気を付けることは…
- 指導すべきことを見逃してはいけない
- 子どもに流されてはいけない
- 向かってくる子どもから逃げてはいけない
誰にも共通する、気を付けることは…
- 子どもとの約束を破ってはいけない
- 教師の間違いを謝らずに流そうとしてはいけない
- 子どもによって対応を変えてはいけない
子どもたちを大切にする学級経営をしてくださいね。