小学校で読み聞かせをやったことのある先生なら、上手に読み聞かせができるようになるといいなと思いますよね。
寝る前にわが子へ読み聞かせをするのと違い、学校では集団に対しての読み聞かせになるので、それなりにテクニックを知っておく必要があります。
この記事では、私が教員をやっていたときに、司書教諭や専門が国語の先生に聞いたこと、自分が実際に読み聞かせをしてきて学んだことをまとめていきます。
この記事は、小学校で読み聞かせをする先生はもちろん、PTAの役員として読み聞かせをする保護者の方にも役に立つ情報になっています。
なお、読み聞かせ初心者を対象にした記事ですので、本当に基本的なことばかりです。でも、どんなことも基本が大事ですので、目を通してみてください。
本の持ち方テクニック
本の持ち方の基本は、以下の3点です。
- 絵を隠さない
- 本を動かさない
- 上からのぞきこまない
絵を隠さない
絵本の絵は、子どもたちが物語の世界に浸るために、できるだけ隠さないように持ちましょう。
基本は、右利きの人の場合、左で絵本を下から持ち、右手でページをめくるのがよいでしょう。
本を動かさない
本を動かすと、絵を見ながら聞いている子どもたちは、物語に集中できません。端に座っていて、絵が見にくい子どもたちに見せる場合を除き、最初の位置で固定しましょう。
上からのぞきこまない
本を上からのぞきこまないようにしましょう。両手で本を持つと、上からのぞき込むような体勢になりがちです。
上からのぞきこむと、
・口が下を向くため、声が届きにくい
・口が下を向くため、読む人の表情が子どもたちに見えない
・上から字を見て読もうとするので、本が持ち上がって子どもたちは見にくくなる
ということになり、いいことはありません。
ページのめくり方テクニック
ページのめくり方の基本は、以下の3点です。
- 下の端をめくる
- ゆっくりめくる
- めくったら、少し間をとってから読み始める
下の端をめくる
ページをめくるときは、本の下の端をめくるようにします。こうすることで、できるだけ絵を隠さずにめくることができます。
試しに上の端をめくってみてください。腕が絵を隠してしまいますよね。
子どもたちへのちょっとした配慮ですが、これを実践している人を見ると、「わかってるなぁ~」と思います。
ゆっくりめくる
ページをゆっくりめくるだけで、子どもたちは次が楽しみで絵本にくぎ付けになります。もったいぶるようにめくるといいでしょう。
ゆっくりめくることを意識すれば、ページを飛ばしてめくることも防げます。
めくったら、少し間をとってから読み始める
子どもたちは、まず絵を見ます。その後で、「どんな話なのかな?」と思いながら話を聞きます。めくってからすぐに読み始めると、子どもたちの頭が混乱します。
そのため、絵を見る時間をとってあげましょう。
でも、間を開けすぎる必要はありません。一呼吸おいたら、読み始めましょう。
読み方テクニック
読み方の基本は、以下の3点です。
- 「読み始め」と「読み終わり」はパターン化して行う
- 声は大きく、とにかくゆっくり読む
- 子どもの反応に合わせて、緩急をつけた読み方をする
「読み始め」と「読み終わり」はパターン化して行う
本の世界に入る「読み始め」、本の世界を終える「読み終わり」は、パターン化して行いましょう。以下のように行います。
読み始め
①表紙を見せて、タイトルと作者名を読む。
②みかえしをゆっくりめくる。
※みかえし…表紙の次のページの何も書いていないところ
③とびらのタイトルを読む。
読み終わり
①本文を読み終わったら、残りのページを最後までゆっくりめくる。
②裏表紙の絵を見せる。表紙とつながっていれば、開いて見せる。
③もう一度表紙を見せて、「〇〇でした。おしまい。」と言う。
声は大きく、とにかくゆっくり読む
絵本の文章量はとても少ないです。その少ない文章の中に、大きく広がる世界が描かれています。そのために、絵本の世界観を伝える一つ一つの言葉を大切にしましょう。
声の大きさは当たり前ですが、ゆっくり読むことは意外に難しいものです。
読み聞かせに慣れている人は、ものすごくゆっくり読めるのですが、普段から読み聞かせをしない人は、ゆっくり読んでいるつもりでも、子どもは速いと感じることが多いです。
一度、自分の読み聞かせを録音して聞いてみるとよいでしょう。聞きやすい速さかわかると思います。
子どもの反応に合わせて、緩急をつけた読み方をする
聞かせる相手は目の前にいます。子どもたちの反応に合わせて、緩急をつけた読み方をすると、さらに子どもたちは本の世界に引き込まれていきます。
具体的には、以下のようなことです。
- 次のページが気になるような内容の場合、めくるのをじらす。
- 話の展開のテンポがよい場合、読み方もリズミカルにする。
- 静かな場面では、少し声のトーンを落とす。
子どもの反応を見ないで、淡々と読んだら、ただの朗読になってしまいます。
読み聞かせの基本Q&A
それでは最後に、読み聞かせに関する基本的なことを、Q&A形式でまとめていきます。
- 緩急をつけて読むのが苦手です。子どもたちは聞いてくれるのでしょうか。
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絵本はそのまま読むだけでも、十分に魅力が伝わるようにできています。緩急をつけるのが苦手でも、ゆっくりはっきりした声でていねいに読めば、子どもたちは本の世界に引き込まれていきます。
- 難しい言葉が出てくる絵本の場合、途中で解説を入れた方がいいですか。
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作者は解説を挟むことを前提に作品を作っていません。絵本の世界観を壊さないためにも、難しい言葉出てきても、基本的には解説を入れない方がよいでしょう。どうしても必要な場合は、短く解説します。
- どんな絵本を選んでよいかわかりません。
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読み聞かせ対象の子どもたちの学年を考えながら、ご自分が読んであげたいと思う本が一番だと思います。ただし、読んであげたい本がなかなか見つからない人は、司書教諭や同僚に聞いたり、ネットで調べたりしましょう。
- 読み聞かせをしようと思ったら、「その本知ってる!」と言う子が何人もいました。別の本を読んだ方がいいですか。
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「絵本を知っている」と、「読み聞かせをしてほしくない」は、イコールではありません。知っている絵本でも、読み手が変われば、子どもたちにとってはまた新しい発見があります。本を変えることなく読んであげましょう。
読み聞かせの基本を学んだら、早速読み聞かせをしていきましょう。場数を踏めば、必ず読み聞かせは上達します。
読み聞かせは、本をあまり読まない子どもたちも楽しみにしています。読み聞かせを通して、本の楽しさを伝えられるといいですね。