発達障害への理解が進み、学級内で落ち着きがない子がいても、その子にあった支援が必要であることが理解されるようになってきました。
とはいっても、自分のクラスに、授業中じっと座っていられない子がいたら対応に困りますよね。
この記事では、
授業中、じっと座っていられず、対応に困っている先生
に向けてまとめていきます。
書籍から得た知識や先輩の先生からいただいたアドバイス、そして自分の実体験から、こう対応したらよい結果につながった!という4つの支援をご紹介していきます。
やってはいけないこと
4つの支援の前に、まずはやってはいけないことについて。それは、
口頭で注意するだけの指導
です。
多動性や衝動性のある子は、自分の行動をうまくコントロールできません。そのため、外部の刺激に過度に反応してしまうのです。
厳しく注意すれば座っていられると勘違いする人がいるかもしれません。しかし、それは押さえつけているだけであって、教師の対応としてはいかがなものか?と思います。
その子の特性に合わせての対応ではないので、その子の成長にはつながりません。
厳しく注意してばかりだと学級の雰囲気も悪くなるし、注意されてばかりのその子の学級内での立場も悪くなりますよね。
座っていられない児童への4つの支援
その子の周りから刺激を排除する
多動性、衝動性のある子は、周りからの刺激に反応し、落ち着かなくなります。そのため、その子の周りから刺激となるものをできるだけ排除することが大切です。
そのために、以下のことをしてみましょう。
座席は一番前にする
座席は一番前にしましょう。後ろの方だと、周りの子どもの行動が刺激になりますし、こちらから声をすぐにかけられなくなります。
教師の近くに座らせておくことで、授業中に落ち着きがなくなってきても、すぐにその子へ対応することができます。
前面の掲示板は何も貼らないか、隠すように
黒板の両サイドにある前面掲示板には、何も貼らないかカーテンなどで隠すようにしましょう。
教室掲示は基本的にカラフルなものが多いです。配慮が必要な子たちには、視覚的な刺激が強いです。ユニバーサルデザインの観点からも、前面掲示板はすっきりさせておきましょう。
他の多くの子にとっても、その方が授業に集中することができます。
机の上は、必要なものだけ置く
机の上に必要のないものを置くと、そのまま手遊びを始めてしまいます。机の上は、その時に必要なものだけ置くようにさせましょう。
私は、鉛筆や消しゴムなどを使わない時は、ペンケースにしまわせていました。それでもすぐに触ってしまう子の場合、ペンケースごと一旦預かるようにしていました。
集中力が持続できるよう、15分×3のイメージで授業を行う
集中力が持続するよう、じっと座っていられない子には、45分の授業を「15分×3」のイメージで行っていました。
もちろん、授業展開によってはそれがうまくいかない場合もあります。しかし、集中力が持続できるよう、45分の授業の中で変化をつけることが大切です。
授業にメリハリがついて、他の子にとっても集中力が持続しやすくなります。
1時間の見通しをもたせる
多動性のある子には、授業の始めに1時間の見通しをもたせることが大切です。次に何をするかわかっていると、それを楽しみに努力することがあります。
1時間の見通しのもたせ方ですが、私は2通りやってみたことがあります。
黒板の端に1時間の流れを書く
授業に集中できない子が複数人いる場合、1時間の流れを黒板の端に書くようにしていました。学級の子どもたち全員が見通しをもつことができるので、落ち着かない子に対して、「もうすぐ○○をやるからがんばろう」と声をかけてくれる子がいて助かったことが何度もあります。
本人に、1時間の流れを書いた紙を渡す
簡単なメモ程度ですが、1時間の流れを紙に書いて、本人に渡すこともやっていました。その子本人に渡すだけなので、その子に合わせて1時間の流れにすることも多々ありました。
途中で席を立つ機会を作る
そもそも、多動性や衝動性があるからじっとしていられないので、無理にじっと座らせず、授業の途中で席を立つ機会を意図的に設定することが有効です。
例えば以下のような場合が挙げられます。
- できた問題を教師に見せに来させる。
- プリントを配付させる。
- プリントを回収させる。
- 立って教科書を読ませる。
- 教師の手伝いをさせる。
ちょっとしたことでいいので、役割を与えて席を立たせます。それが息抜きになります。
1時間の見通しのもたせ方の例
それでは、1時間の見通しをもたせるために、私が実際にやっていた授業例を紹介します。
その子に渡すメモなので、簡単な流れになっています。
小4 かけ算のひっ算(プリントで習熟)
①学習プリントを配る。
②問題に5問解いたら先生に見せる。
③次の5問を解いたら、また先生に見せに行く。
④間違い直しをしたら、シールをもらって貼る。
⑤次のプリントをもらう。
⑥全問解けたら、電卓を借りて自分で答え合わせをする。
⑦間違い直しをしたら、シールをもらって貼る。
集中して問題を解いたら、席を立つ機会を作っています。ご褒美にシールをあげることを伝えておくことで、ゴールを明確にしてあげます。
まとめ
授業中に席を立ってしまう子への4つの支援とは、
①その子の周りから刺激を排除する。
②集中力が持続できるよう、15分×3のイメージで授業を行う。
③1時間の見通しをもたせる。
④途中で席を立つ機会を作る。
席に座っていられない子と言っても、一人一人違います。
その子に合った有効な支援方法を見つけるのに、ここで紹介した4つのポイントが参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。