公立学校共済組合とは何か、以前の記事で簡単にご紹介しました。
今回は、公立学校共済組合の3つの事業のうち、「短期給付事業」についてご紹介します。
短期給付事業は、請求手続きが不必要なものと、必要になるものがあります。それぞれ分けて見ていきましょう。
請求手続きが不要
医療機関で診療を受けた時の給付
これは、みなさんが一番お世話になっている短期給付事業です。組合員証を健康保険証として、医療機関に提示しますよね。
その時に、医療費総額の3割を負担するだけで済みます。
- 入院とかで医療費が高額になる場合は、手続きが必要なの?
-
医療費が高額になった場合、高額療養費制度を超えた分の金額は、後日、公立学校共済組合から払戻しされます。手続きは必要ありません。
医療費が高額の場合、自動的に払い戻しされるといっても、一旦高額で支払うのはキツイ!という場合は、限度額適用認定証を取得して窓口に提出すると、自己負担上限金額までの支払いで済むので、負担が減りますよ。
請求手続きが必要
給付を受けるのに、手続きが必要なものがあります。多岐にわたるので、種類ごとに紹介します。
病気になった時
療養費(家族療養費)
やむを得ない理由で、組合員証を使えず、医療費を全額支払った場合は、手続きをすることで差額が払い戻されます。
例えば、旅行中に急病で組合員証を提示できなかったとき、手続き中で組合員証が手元に届いていないときなどです。
移送費(家族移送費)
組合員やその被扶養者が、やむを得ない理由で病院や診療所に移送された場合に支払われます。
症状が重く、やむを得ず医師の指示で移送された場合が当てはまりますね。
出産した時
組合員やその被扶養者が出産した時は、以下の給付金が受け取れます。
出産費(家族出産費) | 42万円※ |
附加金 | 5万円 |
死亡した時
組合員が公務によらないで死亡したときは、その死亡時の被扶養者のうち埋葬を行うべき方に、埋葬料が給付されます。
埋葬料 | 50,000円 |
埋葬料附加金 | 25,000円 |
組合員の被扶養者が死亡した場合も、給付されます。
家族埋葬料 | 50,000円 |
加速埋葬料附加金 | 25,000円 |
休業し、給与が減額された時
休業といっても、さまざまな理由があります。それらに合わせて、さまざまな給付金があります。
傷病手当金・傷病手当金附加金
給付されるのは、病気やけがによる療養のため勤務することができず、その期間中に給与が減額されたときです。
病気休暇90日、その後有給での休職期間が1年あります。その後、傷病手当金の給付を受けることができます。
ざっくりまとめると、以下のようになります。
期間 | 支給額 | |
---|---|---|
病気休暇 | 90日間 | 10割 |
休職(有給) | 1年間 | 8割 |
傷病手当金 | 1年半 | 平均標準報酬月額の2/3 |
傷病手当金附加金 | 半年 | 平均標準報酬月額の2/3 |
病気で休んでいても、3年くらいは収入があるということです。これが「公立学校教員は恵まれている」と言われるところです。
出産手当金
出産のため学校を休み、このため給与が減額されたときに、これを補填し、生活を保障するための給付です。
対象となる出産は、妊娠13週目(85日)以降の分娩です。この分娩には、正常分娩のほか流産、早産、死産等も含まれます。
給付額は、平均標準報酬月額の2/3です。
育児休業手当金
育児休業した時に支払われます。出産をした多くの先生が、そのまま一定期間育児休業をとるので、よく知られた給付金です。
給付期間は、育児休業にかかる子が1歳に達する日までです。
給付額は、育児休業開始から180日は標準報酬日額の67%、その後は50%が支給されます。
介護休業手当金
介護休業手当金は、組合員が介護を必要とする家族のために、介護休業の承認を受けて休業するときに給付されます。
給付期間は、介護休業の開始日から66日を超えない期間給付されます。介護を中断した場合や、途中で出勤したために介護をしていない場合などは、給付の対象となりません。そのため、介護休業を分割して取得しても、66日までは給付の対象となります。
連続66日ではないところに注意が必要ですね。
給付額は、標準報酬日額の67%です。
災害にあった時
災害見舞金
災害によって、組合員や被扶養者の住居や家財に損害が出た時、災害の程度によって給付金が支払われます。
なんと、別居している被扶養者の住居も対象になります。
決して大きな額の給付金ではないけど、支払われるのはありがたい!でも手続きが必要だから、この制度を覚えておきましょう!
弔慰金(家族弔慰金)
災害によって、組合員またはその被扶養者が死亡した時に給付されます。
弔慰金 | 標準報酬月額を支給 |
家族弔慰金 | 標準報酬月額の70/100を支給 |
最後に
ここまで、短期給付事業について簡単に説明してきました。
手続きが必要な給付があるので、忘れてしまいそうですが、それほど心配する必要はありません。
ほとんどのものは、事務職員が書類を用意してくれます。
出産や育児休業、病気での休業などは、事務職員が用意してくれるので、忘れることはありません。ありがたいことです。
詳しくは、公立学校共済組合のホームページをご覧になったり、事務職員に教えてもらったりしましょう。
毎月掛金を払っているのですから、短期給付事業をしっかり活用しましょう!