元公立学校教員のぴーちょこです。
さて、今回は、近所から苦情を受けないように、学校が普段から気を付けるべきことについて話をしていきます。
近所といっても、学校の周りの環境は、学校によって全然違います。住宅街の中にある学校もあれば、周りが田や畑に囲まれていて、住宅がほとんどないというような学校もあります。
ここでは、以下ような環境の学校を想定しています。
学校の敷地のすぐ外側に、住宅が広がっている
なお、この記事は、
- 学校の環境整備を担当する先生
- 体育の授業を行う先生
- まだ教職経験の浅い先生
に読んでいただきたいです。
授業中に気を付けること
運動会の練習は、放送機器の音量に注意
運動会の練習で、放送機器を使うときは音量に注意しましょう。
私も教員時代に、近所から学校へ苦情があり、教職員全体へ放送機器の使い方について注意するよう、校長から話を受けたことがあります。
日中だからいいじゃないと思ったのですが、苦情を言ってきたのは、夜の仕事をしている人だそうです。でも、赤ちゃんが寝ていることもあるし、配慮は必要ですね。
一番気を付ける必要があるのが、校舎についているスピーカーを通すこと、つまり一斉放送です。
運動場全体に音が聞こえるように設定されていることから、近所にもよく聞こえます。
全学年そろって練習するときなど、使用しなければならない場合は使用すればよいでしょう。しかし、スピーカーは必ず、子どもたちがいる運動場側だけにしましょう。
放送室で音が出る場所を制御できるはずなので、運動場側だけ音が出るように設定しましょう。
学年練習や、2学年程度の合同練習の場合、一斉放送を使う必要がありません。そのため、ポータブルアンプとマイクを使いましょう。
外に持ち出せるスピーカーとマイク、CDデッキなどのセットですね。
大きな声で怒鳴ってはいけない
まあ、これは当たり前ですね。
体育の授業を運動場で行っているとき、ちょっとふざけている子どもがいたときに大声で怒鳴ったら、近所に丸聞こえです…。
まあ、きちんとした指導なら説明がつくのですが、ちょっと言葉遣いが荒くなったときは…、「先生の言葉遣い、ちょっとひどいんじゃないですか?」と学校に連絡が来てしまうかも?
なお、運動場だけでなく、校舎と近所の家が近い場合は、教室で怒鳴っても聞こえてしまうので注意しましょう。
学校と住宅が近い場合、窓から見られていると意識する
校舎と住宅が近い場合、当然窓の高さも同じくらいになります。ということは、家から校舎の中がよく見えます。
大体の家は、カーテンやブラインドを閉めて、学校から見られないようにしていることがほとんどです。
まあ、自分が同じ立場でもカーテンは閉めっぱなしにしますね。プライバシー保護のために。
でも、カーテンが閉めてあるからといって、見られていないわけではないと思いましょう。カーテンからこっそりのぞけば、校舎の中は丸見えです(笑)。
教師の声は聞こえなくても、動きは見えています。別に悪いことをしている先生はいないと思いますが、気を付けましょう。
私は、子どもが帰った後、教室で運動会のダンスの練習をしていたら、近所の人と目が合ったことがあります。苦笑いして会釈しました。メチャクチャ恥ずかしかったです。
学校の環境で気を付けること
雑草が敷地の外に広がらないように
多くの学校で、敷地の外側に花壇があったり、木が植えてあったりすると思います。
当然、夏になるとその付近から雑草がどんどん伸びていきます。ですから、雑草は早めに対処しましょう。
特に、敷地のすぐそばに住宅がある場合、そちら側へ雑草がいかないように普段から注意しなければなりません。
校内の雑草には目が向きがちですが、意外と学校の敷地付近の雑草は見落としやすいです。校内を歩いていても気が付かないので、学校の外を歩いて確認することが大切です。
なお、草が生える範囲が広い場合、草刈り機で刈ることが多いと思いますが、除草剤で早めに対応する方がよいでしょう。
除草剤は、液剤タイプと粒剤タイプがあります。
液剤タイプの特徴
- 葉に直接かけて、草を枯らす
- 地面に落ちると効果がなくなるので、成分が染み出して流出する危険性が少ない
地面に落ちると除草剤の効果がなくなるため、木の周りに生えている雑草を枯らすのに便利です。葉に直接はたらきかけるため、木を枯らすことがないからです。
土壌に染み出して、近所の家の畑に影響を与える危険性も少ないです。
ただ、注意点として、噴霧するときに風が吹いていたら、絶対に散布しないようにしましょう。近所の家の植物に影響がでる可能性があります。
また、学校の敷地と近所の家があまりにも近い場合、風が吹いていなくても使用しない方が無難です。もし自分が、家の近くで除草剤を散布されたら嫌な気分になりますよね。
粒剤タイプの特徴
- 土にはたらきかけて、草が生えてこないようにする
- 農地用と非農耕地用がある
このタイプは、液剤タイプとちがって、植物ではなく土壌にはたらきかけるものです。除草成分が土に行きわたるため、生え始めの雑草であれば、薬剤が根から吸収され、枯らします。
使い方としては、草が生える時期より前に散布するのが効果的です。
ただし、土に薬剤成分が浸透することから、学校の近くに畑や田がある場合、そこに成分が流出する可能性があります。そのため、学校の敷地の隣が農耕地の場合、使用してはいけません。
近所の家と多少距離があっても、使わない方が無難です。
また、土にはたらきかけるため、木の周りで絶対に使用してはいけません。木が枯れる恐れがあります。
粒剤タイプの特徴を知らず、木の周りにたくさん散布して木を枯らした先生がいると聞いたことがあります。枯らしたくないものがある場合は、散布してはいけません。
学校の外の落ち葉をしっかり集める
全国には、敷地に木が植えられている学校がたくさんあると思います。
落ち葉は風に舞うので、敷地の外に飛んでいくことが多くあります。また、木が敷地の周りに植えられている場合は、必然的に落ち葉が外に飛んでいくので、より注意が必要です。
近所との距離によっては、家の駐車場付近にまで飛んで行ってしまうことがあります。人の家まで入り込んで落ち葉を集めることはできませんが、道路に落ちている落ち葉は速やかに拾う必要があります。
落葉のシーズンは、毎日落ち葉を集めましょう。
側溝の砂を定期的にとる
学校の敷地内にある側溝には、砂やごみがたまります。特に、運動場付近の側溝は砂が、木の近くの側溝は落ち葉がたまりやすく、そのままにしておくと水が流れにくくなります。
大雨の後、学校内だけで水があふれているならまだしも、近所の側溝から水があふれ出るようなことがあってはいけません。
側溝のフタを外して掃除するのは大変ですが、年に1回は行うのがよいと思います。大変な作業なので、夏休みに職員作業として実施するのがおススメです。
学校の周りのごみを拾う
学校の周りを歩くと、空き缶やペットボトル、吸い殻などのいろいろなごみが落ちています。
心無い人がポイ捨てをしていくのですから、学校としてはただただ迷惑なことです。しかし、そのままにしておいてはいけません。
成人向け雑誌が捨てられていることもありました。
近所の人から見たら、学校は掃除をしていないように見えるでしょう。また、子どもたちにとっても、学校がきれいに保たれている方がよいに決まっています。
学校で働いていると、どうしても内側から見た学校ばかり見えてしまいます。しかし、近所の人からすれば、外から見える学校が学校の姿です。ですから、学校の周りにゴミが落ちていれば、掃除がされていないと感じてしまいます。
学校の周りをぐるっと一周見て回れば、たくさんのゴミが落ちていることに気が付きますよ。
大切なことは、近所に気を配っている姿を知ってもらうこと
授業における近所への音、夏場の雑草や秋の落ち葉など、どうしても近所に迷惑がかかることは仕方がありません。
近所の人もそのことは十分承知している人ばかりです。
しかし、最も大切なことは、「近所に気を配っている姿を知ってもらうこと」だと思います。
毎日、朝から学校の周りのゴミ拾いや落ち葉集めをしていれば、近所の人の目にとまります。「あ、先生たちが朝から掃除をしているな」という思ってもらえるわけです。
そうした姿を見せることで、「先生たちもがんばっているから」と少しくらいのことでは苦情を受けなくなります。
学校は地域にとって大切な施設ですが、そこで働いている教職員はその地域に住んでいるわけではありません。
学校がある地域の人のことを考えて行動することで、地域の人から協力を得られる学校になっていくと思います。
一度、今の学校がどうなのか、思い返してみてください。明日からできそうなことはありませんか?