水泳帽の色分けの必要性について考える

元教員のぴーちょこです。今回は水泳帽の色分けの必要性について考えてみたいと思います。

どこの小学校でも、水泳の授業の時は必ず水泳帽をかぶらせます。ただ、色分けについては学校間で違いがあり、統一されているわけではありません。

帽子の色分けをするのは理由があるからですが、学校側としてはどんな意図で帽子の色分けをしているのか、元教員として、教員の意見を交えながら妥当性があるのかどうか考えてみたいと思います。

教員の立場として意見をまとめますが、あくまでも個人的な意見です。教員の立場であっても、他の意見があって当然だと思います。その点をご了承いただければ幸いです。

目次

水泳帽の色分けパターンと、それぞれの特徴

学年によって色を変える

1~6年生まで、学年によって色を変える方法です。学年色で決める場合が多いので、学年色が赤であれば、6年間赤色の水泳帽になります。

〈メリット〉

  • 複数学年が活動していても、一目で何年生か区別できる。
  • 毎年買い替える必要がないので、長く使える。

〈デメリット〉

  • 学年の人数が多い場合、パッと見てだれがどのくらいの泳力か把握ができない。
ぴーちょこ

学年でみんな同じだから、泳ぎが苦手な子を見逃しやすいんだよね…。

泳力によって色を変える

だれがどれくらい泳げるのか、泳力によって水泳帽の色を分けます。細かく分けるところもありますが、ほとんどは25mが一つの区切りになっています。私が勤務してきた学校の多くは、0~24m、25~99m、100m以上の3種類の水泳帽でした。

〈メリット〉

  • 一目で泳力がわかるので、水泳指導がしやすく、安全上の配慮もしやすい。
  • 帽子の色を変えることを目標、頑張る子がいる。

〈デメリット〉

  • 泳力差がわかるようにすることは、泳げない子を見せしめにしているという人もいる。
  • 高学年になると、泳げない子は帽子の色を気にしてサボることがある。
ぴーちょこ

帽子の色を見て、泳げない子に無理をさせない配慮がしやすい。でも、苦手な子にとっては、帽子の色が変わらないとプレッシャーになることも…。実際、水泳をサボる子がいました。

学年と泳力の混合パターン

水遊びが中心となる1・2年生は、全員同じ水泳帽の色にして、3年生以上は泳力別に色分けする。私が勤務していた学校であったパターンです。

メリットもデメリットも、上記の「泳力によって色を変える」と同様です。

特別な配慮が必要な子だけ、周りの子と違う色の水泳帽にする

基本は学年で水泳帽の色が決まっていますが、特別な配慮が必要な子には、目立つように周りと違う帽子の色にするという方法です。ここでいう特別な配慮が必要な子とは、てんかんや心臓疾患などの身体的なことで注意が必要な子です。

もちろん、保護者の同意を得て、その子だけ周りの子と違う色の帽子をかぶります。

〈メリット〉

  • 担任や同学年の教員でなくても、誰が見ても配慮が必要な子だとすぐわかる。

〈デメリット〉

  • 身体的配慮事項はかなりの個人情報であるが、それをわかるようにすることを問題視する人もいる。
  • 該当するのはごく少数なので、ものすごく目立つ。
ぴーちょこ

命に関わる危険性がある子が一緒に泳ぐ場合、その子から目を離せないので、目立って良いです。しかし、泳ぎが苦手なだけの子は、他の子と同じ色の帽子なのでどこにいるかわかりづらいです。

水泳帽の色指定をしない

そのままです。水泳帽をかぶるという決まりがあるだけで、どんな水泳帽でも構いません。

〈メリット〉

  • 指定がないので、水泳帽を自由に選べる。
  • スイミングスクールで使用しているものや、兄弟のお下がりが使える。

〈デメリット〉

  • 学年や個人の泳力がわからない。

水泳帽の色分けをする目的

学校側が水泳指導で最も大切にするのは、安全です。

もし、小規模校で、学級の児童数が10人であれば、単純計算で教師一人が10人の水泳指導をすればよいことになります。しかし、学級の児童が40人だったら、教師一人で40人を指導することになります。10人相手なら指導ができても、40人になると指導どころか、だれがどこを泳いでいるか把握するだけでもたいへんです。

教師ならわかってもらえると思いますが、水につかって頭だけ出し、水泳帽をかぶってゴーグルをしていたら、ある程度近づかないと誰だかわからない場合があります。

先ほど、学校は水泳指導で安全を第一に考えることを述べました。そのため、通常の体育とは違い、担任以外に監視の職員を付けることが今では当たり前になっています。人手が足りなければ、管理職も監視に入るでしょう。

担任であっても、泳いでいる子を遠くから全て把握できるわけではありません。担任でなければなおさらです。ですから、誰が監視に入っても配慮が必要な子がわかるようにと、水泳帽の色を変えるのです。

水泳の授業が始まる前に、健康診断や保護者への聞き取り調査などで、配慮の必要な児童について、職員間で情報を共有します。しかし、それは書類上のことで、実際の授業でどの子を配慮しなければいけないか、パッと見てわかることとは別問題です。

水泳帽の色を分けて個人が特定できるようにしようというのは、安全上の必要だと言えるのではないでしょうか。

ですから、人数が少なく、全員のことを把握できるような状況の学校の場合、わざわざ水泳帽の色分けをする必要などないのです。

ぴーちょこ

水泳帽の色分けは、安全に水泳指導をするためには合理的な方法だと思います。

水泳帽の色分けは、人権的配慮が足りないのか

学年で色分けするだけなら、人権的配慮という話題にはならないでしょう。むしろ、保護者にとっては決められている方が楽だと感じるかもしれません。水泳帽を選ぶのに、子どもの意見を聞く必要がないので。

しかし、他の状況ではどうなのでしょうか。2つの状況を個別に考えてみます。

泳力によって水泳帽の色分けをすること

先ほども述べましたが、個人的には、安全のために必要だと感じています。これは、自分の経験からです。

実は、私は水泳が苦手です。特に平泳ぎができません。

高校生の時、水泳の授業がありました。水泳帽の色分けなど、当然ありません。高校のプールは中心付近の水深が170cmくらいありました。

だんだん話が読めてきたでしょうか。先生が言いました。「よし、次は平泳ぎだ。番号順に1コースから順に並べ。」と。こういうときに、悪い予感は当たるものです。私は3コースか4コースだったか、とにかく近くに壁がない状況で泳がなければならなくなりました(涙)。プール中央付近で泳げなくなったら命の危機です。本当に死に物狂いで泳いだ覚えがあります。

泳力によって水泳帽の色を分けることは、「泳力に合わない無理な指導をしない」ために重要なことです。担任であれば、クラスの子どもの泳力くらい把握しておくべきだという意見があると思いますが、学年合同で授業を行う学校もあるでしょう。学年全員の泳力を把握できますか?

水泳が苦手であることをアピールできない子もいます。私が水泳指導をしてきたときは、泳げない子の中でも特に苦手な子は、絶対に壁際にしていました。もちろんその子の顔はきちんとわかりますが、帽子の色が分けてあると、まずそこで見分けがつきます。

水泳の授業で、無理に頑張ることは大変危険だと思っています。教師が子どもの泳力をパッと見て判断できることはもちろん、子どもにとっても自分が泳げないことを教師にわかってもらえるという点で、水泳帽の色分けは有効だと思っています。

泳力で帽子の色分けをすることは、人権的な配慮が足りないのではなく、むしろその子の安全に配慮した適切な処置だと考えています。

特別な配慮が必要な子だけ、水泳帽の色を分ける

これは、基本的に色分けする必要はないのかなと思います。

理由は以下の2点です。

  • 身体的なことで本当に注意が必要な子は少ないはずなので、全職員がきちんと顔を名前を覚えればよい。
  • 泳力と違い、本人の努力で将来的に帽子の色が変わるものではない。

2点目の理由のように、本人の努力とは無関係のところで識別されてしまうのは、考える必要があることだと思います。ただ、絶対に何かあってはいけないという現場の先生方の思いもよくわかります。

ただ、本当に命の危険に直結するような持病をもっているなら、やはり誰が見てもわかるように水泳帽の色を分けた方がよいと思います。

まとめ

公共のプールや遊園地などのプールであれば、水泳帽の色が…なんて話にはなりません。なぜなら、水泳指導の場ではなく、安全のための監視に集中できるからです。監視だけのために、人数もそれなりに配置できます。

しかし、学校では水泳指導をしながら、安全にも十分注意しなければなりません。水泳帽の色分けは、安全と指導とを合理的に進めるために必要なことだと思います。ただ、学校という組織は変化が遅い、または変化を嫌うために、なぜ水泳帽の色を分けるのかということを考えないまま、決まりだけが存在している場合があります。

保護者からの問い合わせがある時代です。水泳帽の色分けについて、各学校の状況に応じて柔軟に考えることが必要だと感じます。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

元教員。
公立の小中学校で20年間勤務した経験を生かし、今をがんばる先生方を応援するサイトを作っていきます。

コメント

コメントする

目次
閉じる