現在、教員をしている方なら、教員が多忙で大変な仕事であることは身に染みてわかっていることだと思います。
今の世の中は、教員が大変な仕事であることを理解しつつあると思います。それは、メディアが教員の多忙さを伝えてくれることが大きいと思います。
私もブログをやっている以上、せっかくなので元教員の立場から、教員の仕事について世の中へ発信したいと思います。
さて、今回は、
教員が多忙で大変な理由の一つは、教員が「何でも屋」だから・・・
というタイトルです。教員がいかにいろんなことをしているか、知ってもらえたらと思います。
教員は取り立て屋だ!
これは多くの方がご存知だと思います。
学校は集金としてお金を家庭から徴収しています。もはや現金集金はほぼなく、口座引き落としとなっているでしょうが、口座引き落としができなかった場合はどうするでしょう。
それは、
担任が家庭に連絡する。
集金の支払いが滞る家庭が多いクラスだと、ツライ…。
多くの家庭は、「すいませんでした!」とすぐに支払ってくれます。
しかし、そうでない家庭もそれなりにあります。
なかなか支払ってくれない家庭もあれば、電話をしてもつながらない家庭もあります。
そんな家庭があっても、担任は何とかお金を徴収しようと奮闘するのです!
実際に、私が経験してきたことを紹介します。
【例1】
集金の支払いが毎月送れるAさんの家庭。毎月、母親に連絡するのですが、だんだん支払いが遅くなっていき、ついには支払いが滞ることに。催促の電話をしているうちに、電話をとらなくなりました。
結局、学年主任と相談して、祖父母に連絡し、支払ってもらうことになりました。
【例2】
もはや集金を支払う気のないBさんの保護者。準要保護家庭なので、市役所から毎月お金が支払われています。そこで、毎月支払われる準要保護のお金から支払ってもらうということに。
Bさんの保護者が了承したので、市役所へ出向き、市役所の担当の人からBさんの保護者に現金が支給されたその場でお金をいただくことになりました。
【例3】
集金が滞納気味だったCさんの家庭。6年生の卒業と同時に引っ越しをするということだったのですが、卒業式を迎えても全額支払われず。
卒業して転校しましたが、それ以後も保護者に催促の連絡を続け、何とか不足分を回収することに成功しました。
もっと大変な思いをしながら集金を回収している先生方もたくさんいると思います。
未納の集金を催促するのは、担任(教員)がすることではないと思います。ただ、担任が連絡するからこそ、支払ってくれる家庭があることも事実です。保護者からすれば、わが子の担任から連絡が来るのですから。
教員は農家だ!
小学校であれば、学年の花壇が備えられているところがあると思います。「学年園」というやつです。
その学年園で、季節の野菜を育てることがあると思います。もちろん、アサガオやミニトマトなど教科に関わるものを栽培しますが、それとは別に取り組むこともあるでしょう。
取り組む以上、素人なりに調べて取り組まなければなりません。
私が教員になって初めて取り組んだことを下に挙げていきます。
- 耕運機を使って畑を耕す。
- 畝を作る。
- マルチを貼る。
- グリーンカーテンを作る。(この時はゴーヤ)
- 肥料や石灰などを入れて土壌を整える。
作物の栽培とは別に、環境整備として以下のことにも取り組みました。
- 草刈り機を使って、除草作業をする。
- 除草剤を使って、除草作業をする。(噴霧器を使用)
壊れたものの修理は、まずは担任の仕事だ!
公立の学校は自治体にもよりますが、全体的に予算不足です。
そのため、いろいろなところが壊れても緊急性がないとすぐに修理してもらえないことがあります。
子どもの安全に直結するようなことであれば、市町村役場もすぐに対応してくれるでしょうが、緊急性がないと動きが鈍い…。
自分では修理できないような大掛かりなものでなければ、基本的にまずは教員が修理してみることになります。
だって、業者を呼んで見てもらうだけでもお金がかかりますからね。
ということで、またまた私が実際に取り組んできた修繕について紹介します。なお、私個人で取り組んだことだけでなく、職員作業として取り組んだことも含めて紹介します。
- 床のタイルを貼りかえる。
- 校舎内の壁にペンキを塗る。
- 遊具にペンキを塗る。
- トイレの壁のタイルを貼りかえる。
- 水漏れする箇所の部品を取り換える。
- カーテンレールを取り付ける。
- 通電しなくなった鉛筆削りを分解して、はんだ付けをする。
他にもありますが、基本的に素人でも何とかなりそうなことは、材料費だけで済ませるようにします。つまり自分で直す!
汚い仕事も教員にはつきものだ!
汚いと言うと言葉が悪いですが、3K(キツイ、汚い、危険)の汚いに当たる仕事も教員には当然あります。
まず、低学年の担任であれば、排泄の処理は必ず経験すると思います。いわゆる「おもらし」の対応です。
私が特別支援学級の担任をしたときは、まだトイレトレーニングが終了していない子がいたので、毎日オムツを交換しました。
小便だけでなく、大便の処理も教員をしていれば経験することになるでしょう。
また、気分が悪くなって嘔吐する子もいます。当然、嘔吐物の処理も教員の仕事です。
食中毒の懸念から、子どもが嘔吐した場合はマニュアルに沿って対応することになります。
汚いこともやらなきゃいけないの!と思うかもしれませんが、現場の先生方はそれほど気にしていないと思います。目の前に子どもがいますからね。
ただ、こういうこともしているのですよ、と知ってもらえたらうれしいです。
会計処理も教員の仕事だ!
教員はお金も扱っています。
家庭から集めたお金で、必要な教材を購入します。業者への注文はもちろん、業者への支払い、会計簿の作成なども全て教員が行っています。
会計の担当は学年内で決めることになりますが、会計の扱いに慣れていない先生が担当すると、大変な目に合うことがあります…。
- 学期末や年度末になって、お金が合わない!
- 計画的にお金を使わなかったから、お金が不足して支払ができない!
- 転出する子への返金や、転入する子への集金を忘れていた!
- 誰がどれだけ未納しているのかわからなくなった!
会計なんかまったく扱ったことのない人が担当になることがありますからね。周りの先生が気にしてあげないといけません。
もちろん、クレーム対応も教員の仕事だ!
クレームというとちょっと語弊があるかもしれません。なぜなら、教員側の失敗に対する苦情は、当然教員側にあるからです。
ただ、それとは別に、理不尽なクレームもあります。
短期間で終わるものもあれば、長期間にわたって受け続けるクレームもあります。
そういうクレームの対応も教員の仕事なのです。
全ての学校に、苦情対応をする人や弁護士などが設置されたらいいのに…。
まとめ
教員は本当に「何でも屋」だと実感しています。ここに紹介してきた以外にも、まだまだ教員が担当していることがあります。
例えば、修学旅行や社会見学の計画です。旅行業者を利用することがあるとはいえ、学校独自で様々な計画を立てることもありますから、ツアープランナーのような仕事をすることもあります。
まあ、とにかくいろいろなことをするのが、教員の仕事ということがわかってもらえたのではないでしょうか。
ただ、前向きに考えると、いろいろなことを覚えられるということでもあります。
しかし、現実的には、教員と切り離してもよいことは、教員の業務から外してほしいのが本音です。
今回紹介した中で言うと、集金の取り立て、クレーム対応などは、専用の窓口を設けて対応する人を作ってほしいと切に願っています。
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