教員として働いていると、必ず職場に子どもたちへの指導が上手な先生がいます。子どもへの指導が上手な先生に共通しているのは、
「叱ってばかりではない」
ということだと思います。
叱ってばかり(というか怒ってばかり)の先生の場合、子どもたちの様子が表面上は落ち着いて見えます。しかし、怒られる緊張感でストレスを抱える子がたくさんいます。
叱らない指導というのはとても大切ですが、私は叱ることを否定しているわけではありません。むしろ、叱ることは必要だと思っています。
例えば、
- 人の体や心を傷つけることをしたとき
- 大きなけがにつながるような危険なことをしているとき
のようなことは、しっかりと叱る必要があると思います。本気で叱ることで、教師の思いをしっかり子どもに伝えるというのも、一つの指導のテクニックです。
新任教師にときどきあるのですが、子どもとの関係を崩したくないという思いから、大事な場面で叱ることができずに、学級が荒れていくことがあります。
ダメなことをしている子どもにきちんと指導できることは、実は子どもたち自身が教師に期待していることなのです。以下のグラフは、「ベネッセ教育総合研究所」のホームページから転載したものです。
「悪いことをした生徒を厳しくしかる」という項目で、とても必要、まあ必要と答えた割合は91%です。
ただ、叱ることは必要ですが、
叱る必要がなければ、叱らない指導によって子どもを伸ばす
ことが大切です。
叱るという行為は、子どもがしたことを否定することなので、子どもが委縮してしまったり、反発したりしてしまいます。子どもたちの気持ちに寄り添って、適切な言葉がけをすることが、子どもの成長につながります。
例えば、
- ○○しちゃだめでしょ → ~~すればよかったね
- 早くしなさい → ~~いつまでにやろう
- 何で忘れものをするんだ → どうして忘れてしまったと思う?
頭ごなしに叱るだけでは、子どもたちは考えなくなってしまいます。叱られないように行動するだけになってしまいます。
冒頭に触れた通り、よく叱る先生の学級は、落ち着いているようで、実は子どもたちは叱られることへの緊張感があります。そのため、自主性に乏しく指示待ちの子が多い印象を受けました。
勝手に行動すると叱られるため、言われたこと以上のことはしないという子どもが育ってしまいます。
指導力のある先生は、叱るよりも褒めたり励ましたりすることで、子どもたちを伸ばしていきます。
こうした先生に近づくためには、指導力のある先生の指導法をまねることです。同じ学年に配属されたら、ぜひ子どもへの関わり方を見て学びましょう。
叱らない指導が上手な先生は、子どもたちへの愛情、思いやりがあります。もし、あなたが子どもたちをよくしていきたいという思いがあるなら、きっと上手に指導できる先生になれます。
先生方のご活躍を願っています。