公立学校の教員として採用されても、小規模校に縁がなく定年退職を迎える先生はたくさんいます。
小規模校とは…
小・中学校ともに、学級数が11学級以下の学校
地域によっては小規模校が存在し、そこで勤務する機会がある人もいるでしょう。
公立学校の教員は、勤務校を自分で選ぶことはできませんが、何かのきっかけで小規模校に勤務することがあるかもしれません。
みなさんは、小規模校に対してどんなイメージを持っていますか?
・子どもも先生ものんびりしてそう・・・
・少人数だからきめ細かな指導ができそう
・生徒指導が楽そう
・早く帰れそう
何となく、プラスのイメージがありませんか?
そこで、今回は小規模校に勤務することについて、実際に小規模校で勤務した経験のある私が感じたことを紹介していきます。
小規模校で勤務することはおススメできるのかできないのか、考えてみたいと思います。
小規模校の子どもたちの特徴
穏やかな子が多い
基本的に、小規模校の学区は人口が少ないところなので、都会ではなく田舎ということになります。そのため、のんびりとした環境で伸び伸びと育った子が多く、穏やかな子が多いという印象です。
都会だけど、学区が小さいために小規模校という場合もあるので、一概に田舎とは言えませんが…。
もちろん、ADHDやASDの子たちもいますが、少人数という環境で手厚く見てもらえるので、穏やかに学校生活を送ることができるという印象です。もし、大人数の中で過ごしていたら、もっと落ち着かないだろうと思われる子を何人か見てきました。
縦のつながりがしっかりしている
学校全体の児童数、生徒数が少ないので、必然的に異学年交流が盛んになります。そのため、縦のつながりがしっかりしており、他学年との関わりが深くなります。
全校で100人を切るような規模だと、全員の名前を覚えている子が大半で、下級生に対する思いやりの気持ちも自然と育っていきます。
一人一人が活躍する場が多い
人数が少ないため、様々な場面で活躍する機会に恵まれています。
例えば、学芸会を行う場合、学年で100人いる規模の学校だと、一人が登場する時間はごくわずかです。しかし、学年が20人しかいなければ、ステージ上に登場する時間は長くなります。
授業でも同じことが言えます。授業参観で一人一人が発表する場合、40人学級だと一人あたり発表時間は1分です。しかし、20人だと単純に2倍の2分とることができます。
その他、児童会役員や学級委員などのリーダーを決める場合も、人数が少なければそれだけ経験するチャンスは大きくなります。
人間関係が固定されがちである
小規模校の宿命ですが、少人数のためどうしても人間関係が固定されがちです。
特に、単学級の場合、クラス替えをすることができないので、年々人間関係が濃くなっていきます。
クラス替えをすることができないということは、相性の悪い子どもたちを分けることができないということです。保護者を巻き込むようなトラブルに発展したとしても、クラスを分けることができません。
いじめがあった場合とか最悪です。
いじめとまではいかなくても、何となく子どもたちの中で上下関係ができてしまうことがあります。
- Aさんは勉強がとてもできる。
- Bさんはスポーツならクラスで一番!
- Cさんは絵を描くのがとても上手。
- Dさんは勉強も運動も苦手。
- Eさんは会話がかみ合わない。
新年度を迎えても、担任が変わるだけです。新たな気持ちでがんばろうと思える子もいますが、最初からあきらめてしまう子もいます。そのため、担任になったら「今年の先生はわたしのちょっとした努力を認めてくれる!」と子どもたちに印象付けることが大切になります。
リーダーが育ちにくい(均一化)
学級の人数が少なくなると、どうしてもいろいろな子に対し、平等に機会を与えることが多くなります。
人数が多い学級であれば、リーダーになることがないであろう子も、小規模であればその機会を得られることがあります。
そのため、自他ともに認めるリーダーが育ちにくくなります。特に、1クラスが数人の学級の場合、リーダーがまとめなくても合議制で話し合いがまとまることが多々あり、「多人数をまとめる」という力が育ちにくいと感じます。
人数が少ないと、何となく仲間でワイワイしながら進んでいきがちです。その点、人数が多いところは必ずリーダーが育ってくる印象があります。
小規模校の保護者の特徴
学校に協力的な保護者が多い
小規模校の保護者は、学校に協力的である場合が多いように感じました。人数が少ないため、自然と担任と保護者の関わりも多く、濃くなります。そのため、保護者も担任のことをよく知っており、協力的に接してくれます。
また、田舎であることが多いので、祖父母と暮らす三世代家庭の子が多くいます。複雑な家庭環境の子は少なく(いないわけではない)、祖父母を含めて学校に協力的です。
大規模校や適正規模校より、苦情が少なめ
学校に協力的である保護者が多いためか、苦情も少ないです。
モンスターペアレントは除きます。モンペは学校規模に関わらず一定数いるので…。例外として考えてください。
苦情が少ないのは、もしかしたら保護者ネットワークが関係しているのかなと感じています。
学校にクレームを入れると、どこからかその情報が保護者に流れた場合、あっという間に保護者間に広がります。「あそこの保護者、学校にクレーム入れたらしいよ」という噂を気にして、苦情が少ないのかなと勤務している時に思っていました。
保護者ネットワークが強固
先ほどの話ですでにふれましたが、保護者ネットワークが強固なのが、小規模校の特徴だと思います。
学年の保護者全員がラインでつながっているのはよくある話です。
良い話も悪い話も、保護者ネットワークで広がっていきます。
そのため、保護者からの評判がよい先生は、ものすごく働きやすい学校となります。新年度、新しいクラスを受け持った時、以前受け持った子の保護者が「〇〇先生、とってもいい先生だよ。」と話を広げてくれます。
逆に、評判の悪い先生にとっては、スタート時からマイナスのイメージで始まります。
保護者の評判を気にしてはいけないのですが、小規模校の保護者ネットワークを侮ってはいけません!
小規模校の仕事の特徴
他の教員との調整が少ない
単学級の場合、学年の仕事は全て自分で回すことになります。相談する相手がいないので、自分のペースで仕事を進めていくことができます。
運動会や入学式・卒業式などの学校行事も、教職員数が少ないため、役割分担をしても2~3人のチームです。そのため、仕事を相談したり調整したりするのが楽です。
反面、一人一人に与えられる責任が大きくなるので、自分に自信がない人はツラいかもしれません。特に、単学級の担任は、自分で好きにやれるのですが、だれも自分の仕事をやりません。忘れていても教えてもらえません。
昨年度の学年行事にしっかり目を通しておかないと、やるべきことを忘れて過ぎていってしまいます!
職員間の意思の疎通が図りやすい
職員数が少ないので、意思の疎通が図りやすいのが小規模校のメリットです。
単学級の学校だと、職員室でちょっと話をしているだけで、いろいろと決まっていくことが多々あります。これが大規模校だと、全職員に周知させるのに、きちんと手順を踏む必要があります。
中学校の場合でも、学年に2クラスや3クラスだと、学年会の話し合いもスムーズに進めやすくなります。
採点や評価に時間がかからない(1クラスの人数が少ない場合)
1クラスの人数が少ないクラスなら、当然採点や評価にかかる時間が大幅に短くなります。
10人のクラスと40人のクラス、テストの採点時間を比較すれば、単純に4倍違ってきます。
それがテストだけに限らず、ノートのチェック、成績など、ありとあらゆるところで違ってきます。
クラスの人数が少ないだけで、単純な労働時間は、人数が多いクラスを受け持つ先生よりかなり短くなります。
教員の多忙化解消には、1クラスの人数を減らすことが重要であることを痛感します。
校務分掌が多い
小規模校は教員の数が少ないので、割り当てられる校務分掌が多くなります。
学校規模が変わっても、校務分掌の数はそれほど大きく変わりません。そのため、一人で複数の校務分掌を担当することになります。
小学校だと、若いというだけで体育主任を任されつつ、児童会担当、学校の授業研究など、実にたくさんの仕事が降ってくる可能性があります。
若手というだけで、仕事を押し付けられるのは、学校規模は関係ないかも…。校長次第ですね…。
結論
なんだかまとまらない感じになってしまいましたが、結論から言うと
です。
その理由は、
大規模校より、勤務時間が短くて済む。
からです。1クラスの人数が少なければ、様々な業務が短い時間で終わります。正直、同じ給料もらって、こんなにも違うの?と感じるはずです。
もちろん、小規模校・単学級であっても、1クラスの人数が40人という学校もあるので断定はできません。
しかし、何をするにしても小規模校の方が小回りが利くため、いろいろな面で時間がかかりません。
ですから、小規模校に勤務する機会を得られたなら、できるだけ長く勤務できるようにしましょう!
私なら、できる限り小規模校にとどまれるように努力します!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。