入学式が無事に終わり、子どもたちは明日から他の学年の子どもたちと元気に登校してくるでしょう。
今回の記事は、入学式の翌日から一週間の指導についてです。
学校によっては、1年生の最初の一週間くらいは、給食がなく半日で帰ることになるかもしれません。
あっという間の1日に感じられると思いますが、やることはたくさんあります!
最初の一週間で、学習面、生活面でしっかりと学校での過ごし方を教えていきましょう。
教師の心構え
元気よく登校してくる子もいれば、不安な顔をして登校してくる子もいるでしょう。
子どもたちが、「教室は安心できる場所」と感じられるようにするには、教師の心構えがポイントになります。
- 朝、教室で子どもたちを迎える。
- 笑顔でいる。
- 毎日、全員と話をする。
- たくさん褒める。
- 一緒に遊ぶ。
連絡帳や提出物のチェックなど忙しいと思いますが、子どもたちとの会話の時間をしっかりとりましょう。
最初の一週間は欲張らないで、子どもたちが安心して過ごせる環境づくりを心がけましょう。
もちろん、そのためには、生活面や学習面をしっかり指導しておくことが大切です。
何をしたらよいかわかるということも、子どもたちの安心につながります。
生活面での指導
1年生は学校での過ごし方、つまり生活面での指導を最初に行います。
教えることは学年で統一しているはずなので、足並みをそろえてしっかり教えていきましょう。
登校後にやること
まずは、朝のルーティンとして、登校後にすることを教えます。
- ランドセルの荷物を机に入れる
- 連絡帳を出す
- ランドセルをロッカーにしまう
入学式翌日は、全員がそろってから同時に始めましょう。
やることが終わった子から、外へ遊びに行かせたいところですが、外での遊び方を指導するまでは教室で過ごさせましょう。
トイレの使い方
トイレの使い方について説明をします。
トイレが古く、湿式の場合は、上履きを脱いでトイレのスリッパに履き替えます。そのため、以下の指導が欠かせません。
・脱いだ上履きを整頓すること
・スリッパを使ったら、次の人が使いやすいようにそろえること
足形を床に描いておくとそろえやすいですね。
用を足した後は、手を洗うこともしっかり指導します。
トイレの使い方自体は、幼稚園や保育園で学んできているので、心配はないでしょう。
それよりも心配なのは、トイレに行きたいことを言い出せず、漏らしてしまうことです。
1年生の担任を経験していないと、「トイレは休み時間にいくもの」だと思っているかもしれません。
しかし、1年生の初めの頃は、定期的にトイレの声掛けをする必要があります。特に、トイレが近い子は要注意です。
私も何度遭遇したことか…。養護教諭に何度もお世話になりました。
「トイレに行きたくなったら先生に言うんだよ」と言っても、言い出せない子がいます。最初は30分くらいたったら、全員にトイレの声掛けをしました。言い出せない子も、他の子がトイレに行くと一緒に行くことができます。
靴の置き方
靴箱の靴の置き方は、入学式の翌日に教えましょう。ポイントはたったの1点です。
靴のかかとを靴箱のへりにそろえること
落ちないように、靴箱の奥に入れる指導をしていた先生がいましたが、絶対にきれいにそろいません。
靴箱の整頓をしっかり指導している学校は、絶対に靴箱のへりに靴のかかとを合わせる指導をしています。
へりにかかとを合わせようとすると、絶対に立ち止まって靴を入れることになります。そうすることで、外から走って靴箱に来ても一旦止まることになるので、歩いて教室に戻る指導がしやすくなります。
整列の仕方、歩き方
子どもたち全員で歩いて移動することがたくさんあります。ですから、整列の仕方も早いうちに決めておきます。
入学してから一週間は、番号順でよいでしょう。そして、はぐれないように、隣の子と手をつないで移動できるよう2列にします。
奇数になる場合は、最後だけ3人並びにします。
歩き方は、「ろうかは静かに」がどの学校でも言われることですが、「静かに歩きましょう」と言っても1年生には伝わりません。
1年生の心に響く声掛けができるといいですね。
私はよく「忍者歩きで行くよ」と言っていました。「忍者は見つからないように歩くから、足音も立てないんだよ」と言えば、おしゃべりだけでなく、無駄な足音を立てることにも気を付けるようになります。
話の聞き方
話の聞き方も早めに指導しておく必要があります。ここをしっかり指導しておかないと、後々大変です…。
話を聞くときの態度は、以下のように教えます。必要に応じて、付け加えてください。
- 先生の目を見て聞く
- 手に物を持たない
- 勝手に質問をしない
「先生の目を見て聞く」と「手に物を持たない」は、集中して話を聞くための基本です。
大切なのは、「勝手に質問をしない」ということです。
教師はクラスの子全員に話をしていても、1年生の子は「先生と自分」の関係にとらえています。そのため、質問したいことがあれば、「先生、○○なの?」とすぐに聞いてきます。
話している途中でいろいろ聞いたり、勝手に話したりするのが1年生です。その都度反応していたら、話が進みません。それどころか、「僕も聞いて」「私も聞いて」状態になり、いろんな子が教師と話をしようとしてきます。
ここをきちんと指導しておかないと、1年生相手であっても学級が荒れてきます。
そうならないようにするには、「先生がお話している間は、お地蔵さんのように黙って聞くんだよ」とか「お利口な1年生は、先生の話を最後まで黙って聞けるんだよ」と話し、黙って聞く習慣を付けさせます。
それでも、一部の子は聞いてくると思いますが、「後でね」と言ってその場は流します。無視はしないようにしてくださいね。
時間に余裕があるときの過ごし方
教室でいろいろなことに取り組ませると、必ず終わるのに個人差が出ます。
早く終わった子が手持ち無沙汰にならないように、時間に余裕があるときの過ごし方を決めておきましょう。大体は以下の方法が多いと思います。
- 絵本を読む
- 自由帳に絵を描く
- 折り紙を折る
他には、教師が用意したプリントに取り組ませてもよいでしょう。
もちろん簡単なもので、ぬり絵や点つなぎがおススメです。
学習面での指導
最初の一週間では、学習内容に入る前に、学習規律を指導することが中心となります。
用具の扱い方
1年生は、新しいペンケースに新しい鉛筆を入れてきており、使うことを楽しみにしています。しかし、机からよく物を落とすのが1年生です。
そのため、使わない鉛筆や消しゴムはすぐにペンケースに戻すことを徹底させます。私はよく、「使った鉛筆はお部屋に返してあげてね~。」と言っていました。1年生に易しい言葉で教えましょう。
消しゴムを使うと、消しカスが出ます。言っておかないと、机の下に落とします。ですから、消しカスは机の上で集めて捨てることもきちんと教えます。
ノートを使うときは、下敷きを使用することも習慣づけます。毎回、教師が確認すれば、自然と身につくはずです。
- 使わない鉛筆や消しゴムはすぐにしまう
- 消しカスは机で集めて捨てる
- ノートを使用するときは下敷きを使う
とりあえず、この3点をしっかり教えましょう。
細かいことはもっとたくさんありますが、最初の一週間は欲張らず、余裕があれば教えましょう。
姿勢
話を聞くときの姿勢は、生活面で指導しているので、ここでは書く時の姿勢についてです。
ポイントは3点です。
- 机と体の距離はグーが一つ分くらい
- 両足は床にペタッとつける
- 背筋をピンと伸ばして椅子に座る
背筋を注意することはよくありますが、両足をペタッとつけることが大切です。これができない子は、グニャグニャの姿勢になりがちです。
手の挙げ方と返事
最後は、手の挙げ方と返事の仕方です。
手の挙げ方は、まっすぐ天を突きさすように挙げさせます。
返事は、短く大きな声で「ハイッ」と返事をさせます。
「ハーイ」という返事は早めに終わらせましょう。小学生ですからね。
最後に
入学式から最初の一週間の過ごし方について紹介しました。
入学式と同様に、しばらくは何をやるにしても学年で統一して同じことをやることになるでしょう。学年主任と連携して、まずは最初の一週間を乗り切りましょう!
きっと週末には疲れがどっと来ると思いますが、一週間で驚くほど子どもたちは成長するはずです。
小学校生活に慣れる基盤づくりの一週間になります。しっかり計画を立てて、滞りなく進められるようにしたいですね。