今回は、「子どもによって対応を変えてはいけないのか」というテーマで話をしていきます。
みなさんはどう思いますか?
子どもによって対応を変えてはいけないと思いますか?それとも変えてよいと思いますか?
「どんな状況なのかわからなければ答えようがない」と思われる先生がいらっしゃるでしょう。
その通りです。ということで、今回は生徒指導の場合について考えていきます。
私自身の経験から先に結論をまとめると、
基本はどの子にも同じ対応だが、必要に応じて対応を変える
となります。
そんなこと、当たり前じゃんと思われるかもしれません。だって、子ども一人一人は違うのですから。
しかし、この「必要に応じて対応を変える」というのが教師の力量となって表れる部分です。
問題行動を起こす生徒に対して、どんな対応をすればよいのでしょうか。
ある先生は、「他の生徒へ示しがつかないから、特別扱いはしない。他の子と同じように指導する」と考えたとしましょう。
すると、一方で「あいつは特別だから、特別扱いしてやらなければいけない」と考える先生もいるわけです。
私は、どちらも正しいと思います。
私が中学校に勤務していた時、当時の教頭先生がこんなことを言っていました。
最近の若い先生は、生徒指導をきっちり型にはめすぎる。もうちょっとファジーな部分を作ってやらないと、教師も生徒も疲れてしまうよ。
この教頭先生、荒れた学校をたくさん経験してきていました。
私もそう思いました。もちろん、生徒指導の基本は、教職員全体で指導方針がブレないことです。
しかし、若手の先生の中には、真面目過ぎて融通が利かない先生もいました。
問題行動を起こす生徒は、注意してすぐに直ることはありません。その生徒の背景には、問題行動へ走らせる何かしら理由があるかもしれません。
だから、その生徒と向き合って対応しようとすれば、他の生徒と同じ指導ではうまくいきません。
絶対にぶつかるだけです。
でも、他の生徒への影響を考えると、指導しないわけにはいかないですよね。
実は、
生徒指導が上手な先生は、この指導と特別扱いのさじ加減がものすごく上手
なのです。私が見てきた生徒指導の上手な先生は、だれもがそうでした。
他の生徒が見ている場ではきちんと指導をしているのですが、実はこっそりフォローもしているのです。決して突き放すだけではありません。
また、「これくらいは許してやろう」という適度な甘さを上手に使いこなしています。
教師は、警察や裁判官ではありません。悪いことを悪いというだけの仕事ではありません。
教師は人を育てる職業です。ですから、生徒のことを考えて、その生徒が立ち直るためにはどうしたらよいか考えると、他の生徒と同じ対応はできないことがわかるはずです。
ただ、真面目に学校生活を送っている多くの生徒の成長も大切です。ですから、露骨に特別扱いはできません。
繰り返しになりますが、
基本はどの子にも同じ対応だが、必要に応じて対応を変える
ことが大切です。これがうまくできるようになるには、ある程度の経験が必要だと思います。
中学校勤務の先生は、学校に生徒の扱いが上手な先生がいると思います。ぜひ、その先生のやり方を見て、聞いて学んでください。きっといろいろな経験をしてきているので、いろんなことを教えてもらえると思いますよ。