教室は学習するところであり、子どもたちが毎日生活する場所でもあります。落ち着いた生活ができるように、きれいな教室環境を維持できるようにしましょう。
ここでは、私が教員時代に実践してきた、教室の本棚をきれいに保つ工夫を紹介します。
ただし、学級によって子どもたちの人数も違えば、教室の作りも違います。参考としながら上手にアレンジしていただければと思います。
本の収納方法を年度初めに説明
教室の本棚を整理整頓させておくコツは、年度初めにきちんと説明しておくことです。
整理整頓に限らず、給食の配膳方法や係活動、掃除の仕方など、学級経営に関わる全てのことは、年度初めに全体にきちんと説明することが基本です。
最初に全体説明がなく、その都度場当たり的に説明していれば、教師の説明を聞いていない子が出てくるので、子どもたちが混乱します。全体への説明が不十分なのは、学級が荒れる原因の一つです。
保管場所を覚えさせる
教室の本棚のどこに何を保管するのか、きちんと説明しましょう。小学校の低学年の場合、シールを貼って表示してもよいでしょう。
読み物の本、新しく入った本、教科書や副教材など、保管場所をきちんと覚えさせ、混ざることがないようにしましょう。
きれいな状態の写真を貼っておく
きれいな状態を保つための工夫として、きれいに整頓された状態の本棚の写真を撮り、本棚に貼っておく方法があります。
教室には、言語で説明しても理解しにくい子どもがいます。写真を貼っておくことで、どういう状態がよいのか視覚的にとらえさせることができます。
ただし、大きな写真を貼る必要はありませんし、目立つように貼る必要はありません。大きくてもL版サイズ、またはその半分の大きさで十分だと思います。そして、写真が貼ってあることをきちんと子どもたちに伝えておきましょう。一年間、貼ったままにできるよう、ラミネートしておくことをおすすめします。
最初の1か月は、整頓されていることを褒め続ける
子どもたちが自分たちで本棚を整理整頓する習慣がつくまで、ひたすら褒め続けましょう。目安としては、年度初めから1か月間です。
本棚が整頓できていない時に注意するのはやめましょう。これは後手の指導です。
本棚がきれいに整理整頓されている時に、「今日も本棚がきれいで気持ちがいいね」「本棚がきれいなのは、みんながきちんと整頓しているからだね」と褒めてあげましょう。
何も、改まって言う必要はありません。朝の会などに、本棚の方に目を向けてさりげなく言えばよいのです。
それとなく言い続けることで、子どもたちは「先生がきちんと私たちのやることを見ていてくれるんだ」と感じます。
注意されるのと褒められるのと、どちらが行動への意欲を駆り立てるか想像できますよね。
厚みのある本は、ブックエンドで仕切る
本棚が整頓できない原因の一つとして、「立てた本が倒れてしまう」というのがあります。
本棚いっぱいに本が入っているなら問題はないのですが、本棚にすき間ができる場合は対策をしておかないといけません。
本棚にすき間がある場合は、ブックエンドを使用しましょう。
本棚の幅は狭ければ一つでよいですが、本棚の幅が広い場合は、間にいくつか入れた方が良いです。どうしてかというと、本を寄せてブックエンドで押さえるには、力が必要だからです。
子どもの力で押さえられる間隔でブックエンドを設置しましょう。もちろん、ブックエンドを使って本を整頓する方法をきちんと説明しておきましょう。
100均の物でもよいですが、子どもたちが使うことを考えて、丈夫で使いやすいものにした方が便利です。
教科書や薄い本は、ファイルボックスに収納(置き勉対策)
小学校でも中学校でも、置き勉として教科書や補助教材を教室で保管する学校が増えてきています。
教科書や補助教材は厚みがないわりに高さがあるので、ブックエンドが使用しにくいです。そのため、ファイルボックスを使用した方が整頓するのが楽です。
また、教科書や補助教材を使用するときは、全員分を一気に取り出すので、ファイルボックスを使用すると配付も回収して保管するのも便利です。
ファイルボックスを使った収納をしたことがない先生は、ぜひやってみてください。とても便利です。
背表紙が見やすく、取り出しやすい物を使用しましょう。
新刊はディスプレイとして保管
新刊が教室に入った場合は、ディスプレイとして保管すると良いです。
私の経験ですが、新刊として新しい本が入っても、そのまま本棚にしまってしまうと子どもたちはあまり読みません。読書の好きな子は手に取ってくれますが、多くの子は存在を忘れてしまいます。
そこで、新刊をディスプレイにしておいたところ、子どもたちが手に取ることが増えました。新刊だけでなく、教師が読ませたいと思う本を「今、読んでほしい本」として展示するのもよいと思います。
教師おススメの本コーナーは、専用の棚を作る
子どもたちに読んでほしい本を自前で用意する先生もいますよね?冊数が少ない場合は、本棚に一緒に保管してよいですが、何冊もある場合は、ぜひ「先生コーナー」を作ってみてください。
学級文庫と教師の本が混ざって、どれかわからなくなることがなくなりますし、「先生コーナー」という特別感が子どもたちの興味をひきます。
また、「先生の本だから」ということで、普段から子どもたちがきちんと整頓してくれます。
「先生コーナー」を作るスペースがあればよいですが、ない場合は自前で本棚を用意しましょう。
まとめ
教室の本棚を整理整頓した状態に保つために必要なことは、
- 年度当初の指導
- 子どもが自分たちで整理整頓できる工夫(便利な道具の活用)
- 機能的できれいな本棚環境の整備
です。
常にきれいな本棚にして、子どもたちが落ち着いて生活をしたり読書をしたりできる教室にしましょう。