教室環境を整えるために、今回は、掲示物や掃除道具入れなどに視点をあてていきます。
関連記事をまだご覧いただいていない方は、そちらが先の方がわかりやすいかと思います。
掲示物
作品はまっすぐ掲示する
子どもが描いた絵など、作品はまっすぐ掲示しましょう。掲示した作品がまっすぐになっているかどうかは、少し離れてみないとわかりません。
全部貼ってしまってから、ゆがんでいることに気が付くと、直す気がなくなります。
まっすぐ掲示するポイントは、3つです。
- 壁や黒板などの固定物とのすき間を見ながら掲示する
- 作品の上だけ仮止めする
- 少し離れて見る
子どもがいれば、まっすぐかどうか見てもらってもいいですね。
先生ペン(採点ペン)を使用すると、字が消えるので使わない
子どもたちの作品に、先生からのコメントとして朱書きを入れる先生は多いと思います。
朱書きに先生ペン(採点ペン)を使用するのはおススメしません。すでに経験済みの先生もいらっしゃると思いますが、先生ペンを使用した朱書きは、掲示している間にどんどん字が薄くなっていきます。
特に、日が当たりやすい南側の掲示物に顕著に表れます。日に焼けるのだと思いますが、最終的には読み取れなくなります。
子どもたちにとって、先生からのコメントが消えてしまうのはかわいそうです。
使うのなら、顔料系のインクを使っているボールペンなどが、色あせしにくいです。
掲示スペースが少ない場合、連結クリップが便利
教室によっては、掲示スペースが少ない場合があります。私が見てきた中でも、背面が一面に掲示物が貼れるようになっている教室もあれば、掲示板が小さくコンクリートが打ちっぱなしの部分ばかりという教室もありました。
掲示スペースが少ない場合、窓枠を利用して、上から吊るすように掲示する方法があります。
その時に、連結クリップを使用して作品をつなげていきます。
長期間掲示するものは、ラミネートしておく
長期間、それこそ年度当初から年度末まで貼りっぱなしにしておくようなものは、ラミネート加工をしておきましょう。
学級での集合写真を行事ごとに撮影して、教室内に掲示する先生もいるかと思います。初めの方に貼った写真からどんどん色あせしていってしまうので、ラミネート加工をしておいた方がいいですよ。
ただし、ラミネート加工の難点は、光が当たるとチカチカ反射することです。
そのため、ラミネート加工したものは、教室の前面には掲示しないようにしましょう。子どもたちが授業に集中するのを妨げる恐れがあります。
画びょう外しいらずの、プニョプニョピン
コクヨのプニョプニョピンってご存知ですか?
ピンに白い輪っかのゴムが付いているのですが、これのおかげで画びょう外しが必要ありません。外すときは、ゴムの部分を持ってピンを引くと、簡単に抜けます。
一度使うとやみつきになります。ただし、安い物ではないので、頻繁に掲示を取り替える部分に使用するのがよいと思います。
作品はさわらせない指導をしておく
教室に子どもたちの作品が掲示されると、教室が華やかになります。
大切なこととして、「作品に触ってはいけない」と指導しておくことが挙げられます。
一人一人が一生懸命作った作品だから、とても大切なものであることを話します。だから勝手に触ってはいけないんだよと教えましょう。きちんと指導しておくと、作品を作るときから友達の作品を大切にしようとする意識が生まれます。
この指導がきちんとできている学級は、作品にいたずらをすることはありません。
友達の作品は大切なものと教えていくことで、人権感覚も育てられます。
掃除道具入れ
掃除道具入れも、きれいに整理整頓された状態を保つためには工夫が必要です。
掃除道具入れがグチャグチャだと、子どもたちが落ち着かないことにつながるだけでなく、単純に掃除道具を痛めます。
それでは、掃除道具入れをきれいに保つ工夫について紹介します。
当然やっているよ!という先生、すばらしいです。できていない先生に教えてあげてくださいね。
ほうきやちりとりには紐を、掃除道具入れにはフックを付ける
ほうきやちりとりには、紐がついていますか?そして、掃除道具入れには、ほうきやちりとりをかけるフックが付いていますか?
ほうきをかけることなく、そのまま下につけて保管していたら、毛先が曲がってクセがついてしまいます。ちりとりも、ごみをとる先の部分が割れてしまう可能性があります。
実は、どの学校もこうした対策をしているはずです。でもどうしてここで言っているかというと、紐が外れたほうきやちりとりをそのままにしている先生が意外に多いからです。
掃除道具入れを定期的に確認しない先生だと、数か月間そのままでも気が付かないかもしれません。掃除道具入れは定期的に確認し、紐がとれていないかチェックをしましょう。同時に、フックも緩んできていないか確認しましょう。
なお、当然ですが、どのフックに何をかけるかはきちんと決めておきましょう。低学年の場合は、シールで表示しておきましょう。
どの道具をだれが使うか決めておく
どの道具をだれが使うかをきちんと決めておきましょう。
理由は以下の通りです。
- きれいに片付けられていない時、だれが使ったかわかるようにするため
- 自分専用だと意識させることで、責任をもって道具を使用させるため
- 掃除道具の取り合いを防ぐため
意外とほうきの取り合いってありますよね。特に新しいほうきがあると、だれでもそちらを使いたくなります。
ぞうきんがけ
ぞうきんに番号を書いておく
ぞうきんには、番号を大きく書いておきます。ポイントは、半分に折った時、つまりぞうきんを掛けた時に番号が見えるように、ぞうきんの半分に番号を書くことです。
こうしておけば、ぞうきんをきれいに掛けた時に番号が見えます。
あとは、「ぞうきんを掛けるときは、番号順に並べてね。番号がしっかり見えるように伸ばして干してね。」と子どもたちに伝えるだけです。
番号順に並んでいなければ、決まった場所に片付けられていないということになりますし、番号がしっかり見えなければ、きちんと伸ばして干していないことがパッと見てわかります。
番号を大きく書いておくのは、伸ばしてあるかどうかわかりやすくするためですよ。
ぞうきんは、ぞうきん掛けに掛けられる分だけ用意する
雑な先生が意外とやってしまうこと。それが、ぞうきん掛けに掛けられる以上のぞうきんを用意してしまうことです。
いったいどうなるか想像がつきますよね。ぞうきんを掛けるところが足りなければ、掛けてあるぞうきんの上に掛けることになります。
ぞうきんの整頓がきちんとできないことはもちろん、濡れたぞうきんが乾きにくくなり、不衛生という点でも問題です。
上記の、「ぞうきんに番号を書いておく」を守れば起きない問題ですね。
洗濯ピンを用意する
ぞうきんを掛けておくだけでは、ずれて落ちてしまうので、洗濯ピンで留めさせましょう。
洗濯ピンにもぞうきんと同じ番号を書いておくと、だれが使用するものかわかります。
洗濯ピンの色を変えることで、用途分けやグループ分けなどもできますね。
最後に大切なのは、教師の声掛け
子どもたちが整理整頓しやすい工夫をするのは教師の仕事です。しかし、最後に大切になるのは、教師の声掛けです。
きちんと整頓できていれば、「さすがだなあ」「きれいに整頓されていてうれしいなあ」など、子どもたちを褒めてあげます。
乱れている場合は、「残念だなあ」「昨日はきれいに整頓されていたのに、どうしたのかなあ」とがっかりした気持ちを伝えます。
子どもたち自身が整理整頓できるシステムを作っているのですから、子どもたちが意識すれば、自分たちで教室環境を保つことができるはずなのです。
教師のあたたかい言葉がけで、子どもたち自身できれいな教室環境を保つことができるようにしていきたいですね。