この記事は、学級通信を書きたいと思っている先生はもちろん、すでに学級通信を書いている先生にも参考になる情報があると思います。
私も現役の教員の頃、学級通信を毎日発行していました。毎日発行するのは大変だと思われがちですが、コツさえつかんでしまえば、それほど大変なことではありません。だれでも必ず1年間続けられます。
なお、この記事は小学校教員向けの記事ですが、中学校の先生の参考にもなると思います。
毎日発行すると、子どもたちも楽しみにしてくれるので、続ける意欲もわいてきますよ。
学級通信を発行するメリット
学級通信を発行するメリットですが、私の経験から、以下のことが挙げられます。
- 保護者に学級や子どもたちの様子を伝えられる
- 保護者に担任の考えを伝えられる
- 紙面で子どもたちを褒めてあげられる → 保護者もうれしい
- 教師の作文力がつく
保護者に学級や子どもたちの様子を伝えられる
これは、実際に保護者からよく言われたことです。家で学校のことを話す子ばかりではありません。学級通信が毎日発行されるので、学校で何をしているかよくわかっていいと言われました。
また、学級通信のおかげで、学校のことを話題にする機会が増えたという話も聞きました。
学校は情報を開示してないわけではないのですが、学校は閉鎖的だと感じる保護者もいるようです。積極的に学級の様子を伝えることで、開かれた学校という印象を与えることができると思います。
保護者に担任の考えを伝えられる
私はよく、学級通信に自分の思いを書いていました。
例えば、学習発表会でボディーパーカッションやラインダンスを取り入れた発表を企画した時、学級通信で以下のように思いを保護者に伝えました。
学年通信関係ないところは塗りつぶしてありますが、実際の学級通信です。
他にも、内容が劇の発表の時は、配役の決め方を保護者に伝えたこともあります。
こうした担任の思いを伝えることのよさは、
①担任の考え方を理解してもらう
②担任のやることを保護者に誤解されないようにする
ということが挙げられます。
劇の役決めの時、思い通りの役にならない子どもが出てきます。そうした時、きちんと公平に決めたことを伝えます。そして、どんな役も劇を作るのに大切であるということもしっかり伝えておけば、保護者から文句を言われることはありません。
劇の配役だけでなく、何かの代表を決めるときなども、必ず学級通信で伝えていました。残念な思いをした子へのフォローも合わせて記載します。
担任の思いをきちんと伝えていくことで、変な誤解をされなくなります。学級の子どもたち全員を大切にしているという思いが伝われば、変なクレームは確実に減ります。(絶対なくなるとは言えないのが、保護者対応の難しいところ…)
紙面で子どもたちを褒めてあげられる → 保護者もうれしい
学級通信という紙面で褒めることにより、褒められたという事実が形として残ります。これは、子どもたちにとって、とてもうれしいことのようです。保護者も、わが子が褒められたらうれしいものです。というか、うれしくない保護者はいません。
褒めることがなかなか見つからない!なんて思ってはいけません。毎日見ていれば、確実に褒めることはあります。例えば、「落ちていたごみを黙って片付けていた」「本棚の整とんを進んでやっていた」という子が学級にいますよね?
そんなことでいいのと思われる先生がいるかもしれません。しかし、こういう小さなことでもいいのです。むしろ、保護者からすれば、「こんなささいなところまで先生は見てくれる」と感じます。
実際に保護者に言われました。「うちの子って、あまり褒めるところがないと思っていたのに、先生がうちの子を認めてくれてうれしかったです。」と。
教師の作文力がつく
私自身、今でもいい文章が書けるとは思っていません。しかし、なかなか文章が思い浮かばなかった自分が、質のよさはイマイチでも、量は書けるようになりました。
また、語彙力も確実に増えます。
継続は力なり。毎日続ければ、1年間でかなりの文章を書いたことになりますよ。
学級通信は保護者に向けて?子どもに向けて?
よく、学級通信は保護者に向けて書くのか、子どもに向けて書くのか、ということを聞かれることがあります。どちらが正解ということはないと思います。これは、担任の思いによると思います。
私の場合、学級通信を子どもと保護者が一緒に読むことを想定して書いていました。だから、基本的な文体は子ども向けになっています。
保護者向けの固い文章では、子どもたちは読みません。読まなければ、保護者に渡すだけで終わってしまいます。
しかし、子どもにも読めるように書いておけば、読んだ子どもたちが内容を口で伝えようとします。ここに、子どもと保護者が話をする場が生まれるので、そういうことも願って、子ども向けの文体にしていました。
時には、保護者向けに伝えたいことを記載したい場合があります。そういう場合は、「保護者のみなさまへ」という別枠を作って、わかりやすくしていました。
学級通信を毎日発行する7つのコツ
それでは、ここからが本題です。学級通信を毎日発行するのはしんどいかもしれません。しかし、コツさえつかめば、それほど難しいことでありません。
慣れてくると、学級通信にかかる時間は30分もかからなくなります。
以下の7つを実践して、自分なりのパターンを作ってくださいね。
毎日発行することを宣言する
まずは、学級通信を毎日発行することを宣言しましょう。ダイエットと同じです。周りに宣言することで、自分を追い込むのです。
では、どのように宣言したらよいのか。簡単です。学級通信第1号に、以下の文を記載しましょう。
学級通信「〇〇〇〇」ですが、基本的に毎日発行します。
ポイントは、「基本的に」というところです。どうしても忙しいときは無理しないことも大切なので。
写真を使う
写真を使う理由は、大きく2つです。
①子どもたちの様子を具体的に伝える
写真を見れば、何をしているかよくわかります。特に、笑顔の写真を掲載すると、子どもたちが楽しんで過ごしていることが伝わります。
②紙面のスペースを埋める
写真を使うことは、毎日続けるための大切なポイントです。写真1枚入れるだけで、紙面スペースを大きく埋めることができます。学級通信を文章だけで埋めようとしたら大変です。
しかし、写真を入れれば、文章は減らせるし、子どもたちの様子も伝えやすいし、いいことばかりです。
そのために、常にデジカメを持ち歩くようにしましょう。
子どもの作品を掲載する
子どもの作品を掲載する理由は、写真を使うのと同じ理由です。子どもたちの様子が伝わりますし、紙面をうめることができます。
では、子どもの作品として掲載できるものを紹介します。
- 国語の時間に考えた俳句
- 子どもが書いた日記(もちろん本人に許可をとる)
- ていねいに書いた漢字ノート
- 算数の考えを書いたノート
先生が「すごい」と思ったものを載せるよ、と伝えておきます。掲載された子は自信がつきますし、読んだ子たちはそれらを手本にできます。
また、一つのアイデアとして、私が発行した学級通信を掲載します。参考にしてください。
学年通信2これは、付箋を使ったアイデアです。私の顔を小さめの付箋に書かせ、それを提出させました。それを1枚の紙に貼って、スキャナーで読み取ったデータを貼り付けました。
付箋のアイデアは授業でも使えますが、学級通信にも応用できるという例です。
レイアウトをパターン化する
最初のうちは、レイアウトをパターン化しておくと作成しやすいと思います。
例えば、紙面を上下で2分割して、上は授業の様子について、下は学校生活の様子という具合です。
私は載せたい内容がコロコロ変わるので、基本的にレイアウトは自由きままでしたが、金曜日に発行する学級通信だけは、一番下に来週の予定を載せるということを決めていました。
授業や行事について書く
書くネタに困るという先生がいます。しかし、授業は毎日行います。学校行事についても、年間計画で決められていますし、運動会や学習発表会などは練習もするので、それらのことを話題にできるので、話題は豊富に作れます。
授業の内容は、子どもたちがつまずきやすいところ、重点的に復習してほしいところを載せます。そうすると、気のある保護者は、きちんと家庭学習で取り組ませてくれます。
板書を写真撮影して、学級通信に載せるのもよいと思います。
話のネタをストックしておく
しかし、それでも「書くネタがない~」と悩む日があります。そういったときのために、話のネタをストックしておきましょう。
久しぶりに、自分が書いた学級通信を見返しました。すると、以下のようなネタを掲載していました。
- 野球のイチロー選手にまつわるエピソード
- わが子のネタ
- 自分の趣味について
- 最近、自分が楽しかったことの紹介
- オリンピックで活躍した北島康介選手の話
話が多少脱線する方が、おもしろく読めますよ。
子どもが記入するスペースを作る
紙面を埋めたい!でも各ネタがない!というときは、子どもたちが書くスペースを作って埋めてしまうことも一つのアイデアです。
子どもたちにとっては、教師が出した学級通信に自分が何かを書いたということも、年月がたてばよい思い出になります。
ああ、あの時自分はこんな風に思っていたんだ!とふり返ることができます。
先ほどの「子どもの作品を掲載する」のところで紹介した学年通信の一番下に、子どもが記載する部分があります。もっと紙面を埋めたい場合は、記載するスペースを大きくしましょう。
学級通信を発行するときの注意点
学級通信を発行することは、多くのメリットがあります。しかし、注意しなければならないこともあります。
同学年の先生に許可をとる
単学級なら問題ないのですが、複数学年の場合は、同学年の先生に学級通信を発行したいことを伝え、きちんと許可をとった方がよいです。
中には、学級通信を出すことを快く思わない先生もいるからです。そういう先生は、学級通信を出した方がよいことは知っているのですが、面倒くさくて自分は出したくないと思っています。もしかしたら、適当な理由をつけて、学級通信を出さないようにせまってくるかもしれません。
私はそういう先生と一緒になったことはありませんが、もし、嫌な顔をされたら、きちんと学級通信を発行したいことを伝え、許可をもらいましょう。
登場する子どもが偏らないように
学級通信に登場する子どもが偏らないようにするのは、学級通信を発行する際に最も気を付けたいポイントです。
学級通信に名前が登場するのは、がんばったことや良い行動をしたことなど、褒められる内容のときです。したがって、名前が登場するのを子どもたちはもちろん、保護者も楽しみにすることでしょう。
しかし、同じ子ばかりが登場したらどうなるか。他の子や保護者はがっかりしますよね。
学級の子どもたち全員を見ていることが伝わるように、登場する子が偏らないようにする配慮が必要です。
私は、学級名簿に登場した日付を書いていきました。登場した回数だけでは、登場時期が偏よる恐れがあります。定期的に全員の名前が登場するように、日付も記録しておきましょう。
人権、家庭環境に配慮する
当たり前のことですが、人権に配慮した学年通信を発行するようにしてください。
子どもの失敗を書いたり、学級の子どもでなくても誰かを批判するような記事を書いたりしないようにしましょう。
また、家庭環境にも注意しましょう。例えば、母子家庭の子がいるのに、「明日は父の日ですね。」なんて記事を載せたら、その子やその家族だけでなく、他の子やその保護者も嫌な思いをします。
学級通信の作成を通して、自分の人権意識も高めましょう。
最後に
多忙化解消が叫ばれる中、学級通信に時間をかけている場合ではないという意見もあるでしょう。それでも学級通信を出したいんだと思う熱い先生の学級の子どもたちは幸せです。
仕事の効率化も大切ですが、教師の熱意を届けるのも大切なことだと思います。
この記事が、学級通信を作る先生方の熱意を下げることなく、時間を削減できる一助になることを願っています。