教育実習生を受け持つことになったら? 5つのポイントを紹介

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教員として経験を積んでくると、教育実習生を受け持つ機会があるかもしれません。

「ただでさえ忙しいのに、教育実習生に構っている余裕はない!」と思わないでください。教育実習生を受け持つことになったら、前向きに考えましょう。

「教育実習生を指導できると、校長先生から認められているんだな」と。

ぴーちょこ

仕事ができない人には頼みません。教育実習生の将来に関係する大事な実習なのですから。

ということで、教育実習生を受け持つことになった先生に向けて記事を書いていきます。

私、ぴーちょこは、

・教育実習生を2回受け持った(小学校)
・教務主任として、教育実習生全体を指導した(小学校)

という経験があります。私が経験したことをもとに、私が教育実習生にしてきたこと、できなかったけどやっておけばよかったことなどをまとめていきます。

目次

教育実習生の指導教官になることが決まったら

まず、最初のポイントは、教育実習生の指導教官になることが決まった時です。

正式に指導教官になる前に、そっと打診があるかもしれません。指導教官になることが決まったら、まずは心の準備をしておきましょう。

何回目の教育実習か確認する

まずは、担当する教育実習生が何回目の教育実習かを確認しましょう。教頭か教務主任に聞けば、すぐにわかります。

初めての教育実習であれば、それなりに教えることがたくさんあります。逆に、2回目の教育実習であれば、慣れている分、指導の仕方も違ってきます。

専門教科を確認する

次に、専門教科についても確認しておきましょう。

中学校の場合であれば、自分と同じ教科だということはわかっています。しかし、小学校の場合でも専門教科を確認しておくことは大切です。なぜなら、研究授業に専門教科で取り組む可能性があるからです。

私も、自分が受け持った教育実習生の専門教科が音楽だったため、研究授業は音楽をやりたいと言われました。そのため、指導案作成には、音楽が専門の先生に助けてもらいました。

実習生がどの教科で研究授業をするかわかりませんが、専門教科でやりたいと言うかもしれないことを覚えておきましょう

教育実習前の打ち合わせですること

教育実習が始まる前に、実習生が学校へ来て打ち合わせをすることが多いと思います。

実習生とは初めての顔合わせとなります。事前に打ち合わせ事項を決めておかないと、何となく話をしただけで当日を迎えてしまいます。しっかり打ち合わせすることを検討しておきましょう。

なお、教科書や給食などの事務的なことは教務主任や事務職員が担当するので、実習の中身に関わることを考えておきましょう。

雑談をして、教育実習生の緊張をほぐす

多くの教育実習生が、緊張した様子で学校を訪れます。まずは雑談をして、教育実習生の緊張をほぐしましょう。

教員であれば、普段から緊張する子どもたちがいたら、笑いをとって緊張をほぐしますよね?同じように、実習生の緊張をほぐしてあげましょう。

雑談をしながら相手の緊張をほぐすことで、気さくな先生だと印象づけることができます。相談しやすい先生なんだと思ってもらえると、教育実習が始まってから進んで相談に来てくれると思います。

ぴーちょこ

笑顔を忘れないようにしましょう。

研究授業の教科や単元を決める

教育実習が2回目の実習生だったら、この段階で研究授業の教科や単元をある程度決めておくとよいです。

教育実習の経験があるので、授業を事前に考えておくことができるでしょう。事前の打ち合わせから教育実習本番まで、ある程度の期間があるので、やる気のある実習生ならある程度考えてくると思います。

初めての教育実習の場合は、どの教科で研究授業をやりたいか聞いてみましょう。専門教科でやりたいという実習生もいれば、今の段階ではわからないという実習生もいるでしょう。

別にここで決定しておく必要はありません。

ぴーちょこ

研究授業の単元が決まった場合、教育実習までに授業の遅れを作らないように気を付けましょうね。

配慮の必要な児童生徒がいれば、簡単に伝えておく

自分の学級に配慮が必要な児童生徒がいれば、簡単に伝えておきましょう。

ただし、まだ教育実習前なので、名前など詳細まで伝える必要はありません。簡単に、「うちのクラスには、○○の子がいるから配慮が必要だよ」と伝える程度で十分です。

配慮が必要な子どもとは、

  • 家庭環境が複雑な子
  • パニックを起こすなど、接し方が難しい子
  • 身体に障がいがあり、日常生活に支援が必要な子

などです。

ぴーちょこ

教育実習生であっても、知っておくべき子です。詳しいことは、教育実習初日に話をしましょう。

児童生徒名簿がほしいと言われたら?

管理職の指示にしたがいましょう。名前程度なら「取扱注意」で渡してよいと言われるかもしれません。勝手に渡さないようにしましょう。

教育実習期間中

ここからは、実際に教育実習が始まってから注意したいことについてまとめていきます。

注意を要する児童生徒について

学級に注意を要する児童生徒がいたら、事前の打ち合わせで簡単に伝えていると思います。

教育実習が始まるときには、具体的に説明しましょう。

詳しく伝えておかなければならないことは、子ども一人一人によって違うと思いますが、共通しそうなことは以下のことです。

・本人に言ってはいけないこと、やってはいけないことを伝える

ぴーちょこ

トラブルを避けるための方法と言ってもいいかもしれません。

抽象的でわかりにくいと思うので、具体例を挙げてみます。

両親を亡くしており、祖父母に育てられているので、本人に向かって「お父さん」「お母さん」は禁句。

自閉症のため、感情のコントロールが苦手。本を夢中になって読んでいる時に、「読むのをやめなさい」と言うと怒るので、「あと○分ね」と予告すること。

指の関節の発達に問題があるため、指先を使った作業が苦手。できないところは手伝ってあげる必要がある。

授業について

教育実習生にとって、最後に行う研究授業が最大の山場です。そのために、研究授業までの計画を一緒になって考えてあげることが大切です。

観察について

最初の一週間は、授業の観察が中心となります。ただボーっと見ているだけにならないよう、以下の2つのことを行いましょう。

授業の前に、「今日の授業のポイント」を言っておく

授業で見るべきポイント、つまり視点を与えます。教師の発問や、個別指導のやり方などです。視点を与えすぎると、実習生が混乱してしまうので、一つか多くても二つまでにします。

あとは、自由に気付いたことを記録させましょう。

②児童生徒の様子を記録させる

「教育実習の手引き」に、児童生徒の様子を記録することが書かれているので、実習生は自ら記録していると思います。

しかし、ただ漠然と記録するだけになってしまいがちなので、研究授業をイメージしながら、誰が良くできて、誰が支援しないとできないかを詳細に記録するように伝えましょう。

ぴーちょこ

子どもの学力をきちんと把握せず研究授業を行うのは、危険です!

参加について

一週目の終わりから二週目は、「参加」が中心になってきます。参加というと、どうしてもTTのT2のイメージになりがちです。

個別指導が必要な子に付きっきりになるような「参加」にならないように、学級の全ての子どもに関わらせてください。

慣れてきたら、途中で授業の説明をさせることで、次の「実習」の事前練習になります。

実習について

完全に授業を任せることになります。最初の授業は…大体失敗します(笑)。

指導教官としては、途中で口をはさみたくなるかもしれませんが、授業が完全にストップしてしまわない限りは、助けに入らないようにしましょう。

ぴーちょこ

最初の授業がうまくできず、授業後に泣いていた実習生がいました。でも、甘やかしても本人のためにならないので、心を鬼にしましょう。

なお、「実習」の際には、指導案を作成して指導教官に提出するはずです。指導案についても、しっかり指導をしましょう。書き方をきちんと教えておかないと、研究授業の細案を書くことができません。

ぴーちょこ

初めての教育実習の実習生だと、研究授業の指導案は、きっと半分近く指導教官の考えで作成されています。

実習生が大学側に提出する書類に「指導案」がありますが、提出部数はさほど多くないので、必要部数の指導案がそろえば、あとは指導案なしで授業をさせてかまいません。

控室にこもって指導案を作成させるくらいなら、授業をたくさん経験させてあげましょう。

子どもとの関わり方について

子どもとの関わり方について、事前に伝えておくとよいことは以下の点です。

  • 実習生も教師であることを意識し、子どもと適度な距離を保つこと
  • おとなしい子に積極的に話しかけること
  • 言葉遣いが友達感覚にならないようにさせること
  • 児童生徒と個人的な付き合いをしないこと

児童生徒と個人的な付き合いをしないことは、きちんと指導しておきましょう。特に、中学校の場合は、生徒に連絡先を教えてしまう実習生がいます。

自分から生徒に連絡先を教えるのは言語道断ですが、頼まれても断るようにきちんといっておきましょう。

ぴーちょこ

何か問題があってからでは遅いですし、教師を目指す者であれば必ず守らなければいけないことだと教えましょう。

他の教員との関わり方について

自分の授業ばかり見せるより、いろんな教師の授業を見せた方が実習生のためになります。また、多くの教師に関わることで、学校という組織についても学ぶことができます。

そこで、教務主任にお願いして、他の先生の授業を実習生に見せてくれるようにお願いしましょう。

他の先生の授業を見せてくれることが決まったら、必ず次のことを伝えておいてください。

  • 事前にお願いのあいさつに行くこと
  • 見せてもらったら、自分から教えを受けに行くこと
ぴーちょこ

あいさつもなく授業を見に行って、叱られた実習生が実際にいます。

授業以外でも、いろんな先生に関わらせてあげましょう。いろんな先生につないであげるのは、指導教官の役目です。

できるだけ早く帰ることについて

実習生が遅くまで学校に残ることがないよう、指導教官として気を付けましょう。

基本的に、家でできることは家で取り組ませ、定時で帰れるなら帰しましょう。

実習生がいる間は、自分自身の仕事がなかなか進みません。自分のためにも、実習生には早く帰ってもらった方がよいです。

研究授業が近づいてきたら、早く帰れなくなると思います。それまでは、できるだけ早く帰らせましょう。遠慮して、「帰ります」と自分からなかなか言えない実習生もいます。こちらから声をかけて、「今日はもう帰りましょう」と言ってあげてください。

教育実習生に気を配る

ここからは、教育実習生への配慮です。

いろんな実習生がいます。メンタルが弱い実習生もいます。実際に、最後まで続けられず教育実習を終えた子がいました。

私が受け持った教育実習生も、1日だけ遅刻しそうになったことがあります。

理由を聞いたら、「自分に自信がなくなり、行きたくなくなった」とのこと。泣いていたところを母親になだめられ、少し気持ちを落ち着けてから家を出たと言っていました。

ぴーちょこ

自身をなくしているなんて、全然気づいていませんでした。その日は、控室で過ごす時間を長くとってあげました。

特に用がなくても、控室をのぞく

時間があれば、時々控室をのぞきましょう。コミュニケーションをとるためです。

実習生が複数いる場合は、他の実習生ともコミュニケーションをとりましょう。

実習生にとって、相談しやすい指導教官であるには、普段からの何気ないコミュニケーションは欠かせません。

なお、控室をきれいに使っているかは、来た時に確認しましょう。パソコン画面が開きっぱなし、書類が出しっぱなしのまま控室を空けていたら、きちんと注意しましょう。

ストレスを感じていないか普段から気を付ける

実習生がストレスを感じているかどうか気を付けろと言われても…、なかなか難しいです。だって、私自身、気付きませんでしたからね(笑)。

ただ、普段の表情や行動の様子に変化がないか、気を付けて見るようにしましょう。

また、実習生が複数いる場合は、他の実習生に弱音を吐いている場合があります。控室をのぞいていると、もしかしたら他の実習生から教えてもらえるかもしれません。

とにかく、普段から気を配ると同時に、がんばったことはきちんと褒める、苦労しているところはフォローしてあげるなど、実習生をしっかりバックアップしてあげましょう。

子どもたちと一緒にサプライズを計画する

実習の最後には、お別れ会を開いてあげましょう。もちろん、子どもたちと一緒に計画します。

子どもたちからいろんなアイデアを出してもらって、子どもたちに計画、運営をさせましょう。

実習生にとって心に残る会になるだけでなく、子どもたちにとっても成長の機会となります。

教育実習が終わるときに

教員採用試験を受けるなら、結果を報告するように伝える

実習生が教員採用試験を受ける予定ならば、結果を報告するように伝えましょう。

教育実習に関わった先生たちは、実習生が採用試験に合格することを願っています。やはり、教育実習でお世話になった学校に結果を報告するのは、義務であると私は思います。

ぴーちょこ

義務というか、義理かもしれませんが…。

万が一、不合格という結果であっても、報告することで講師登録など、いろいろ助けてもらえるかもしれないですしね。

控室やロッカーなどをきれいにされているか確認する

立つ鳥跡を濁さず。最後に控室やロッカーがきれいになっているか、実習生と一緒に確認しましょう。

意外と忘れやすいのが、体育館用のシューズです。靴箱に入れっぱなしになっているかもしれないので、きちんと確認しましょう。

さて、控室を出るのは、実習生にとっていろんなことが思い出される瞬間でしょう。

きっと荷物の中には、子どもたちからもらった手紙や寄せ書きがあるはずです。「教師になりたい!」と思いを強くした実習生ばかりだと思います。

最後に指導教官として、「あなたと一緒に仕事ができる日を楽しみにしているよ」と言ってあげましょう。

ぴーちょこ

あまりカッコつけすぎるとダサい…。でも、きっと心に響くはず!

教育実習の指導教官として、がんばってください!

新たな教員が一人育つことに、あなたが大きく関わることになるのです。すばらしいことですね!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

元教員。
公立の小中学校で20年間勤務した経験を生かし、今をがんばる先生方を応援するサイトを作っていきます。

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